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2012年3月

2012年3月28日 (水)

2012年F1 オーストラリア~マレーシアGP成績表

さて、ここまで2012年のF1選手権も2戦を消化したわけだが、予想通りなリザルトのところと予想を裏切るリザルトのところがはっきり分かれてきた。開幕戦というのはいろいろと運要素が絡んできてあまり実力が見えなかったりするので、あえて2戦経過時点でのパフォーマンスを基にして、各チームに10点満点で採点を行った。基準は筆者の独断であることを先にお断りしておく。それでは早速見ていこう。



レッドブル・ルノー: 7.5/10。予想よりやや苦戦している感じ。少なくとも昨年のように、レース開始から終了まで全部リード、というような破天荒な勝ち方はできていない。ウェバーは持ち前の安定性がようやくいい形で出てきた、といえるだろう。ベッテルは開幕戦2位で多少株を上げはしたが、その後マレーシアで周回遅れに接触する大チョンボをやらかして無得点に終わっている。それでも速いことには変わりなく、このままいけば今シーズン中に何勝かは挙げられるはず。

マクラーレン・メルセデス: 9/10。本来なら10点満点でもいいくらいなのだが、マレーシアでやや精彩を欠いたせいで多少ミソがついた。ハミルトンのピットの遅れはまあ、仕方ない(後方から殺到するマシンを先に行かせる必要があった)にしても、バトンの接触事故は完全にドライビングミスである(周回遅れと誤認して突っ込んだか?)。それでもオーストラリアであんな風に勝ったおかげで、全体的には評価は高い。ハミルトンはもうちょっと精進したほうがいいかもしれない。

フェラーリ: 7/10。開幕前の下馬評を聞けば、十人が十人みな首を横に振ったチームである。それがオーストラリアで予選を落としながら5位、マレーシアでは天気の混乱に乗じ、ライバルの猛追を振り切って勝ってしまったのだから、こちらももっと得点は高くてもいいはず・・・なのだが、この辺りはチーム力というよりアロンソ個人の腕前に頼る面も多いだろう。その上、二台目のクルマがあれだけ遅くては・・・である。マッサはオーストラリアで凡ミス自滅、新シャーシで挑んだマレーシアでも見所なし、となれば、来年彼がフェラーリに留まるのは奇跡に近い。いや、われらが早苗さんをもってしても無理であろう(筆注:「早苗さん」というのは、プライベートレーベルのPCゲーム「東方Project」シリーズに出てくるキャラクター、「東風谷早苗」のこと。奇跡を起こすという、ある意味チートな能力を持っている)。

メルセデス: 6.5/10。予選では目を見張る速さ。しかしレースになるとタイタニックか戦艦大和の勢いで沈んでいく。ロス・ブラウンによればタイヤの加熱に問題がありそうだが、全体的に昨年からの問題点である決勝ペースの不安定さがまだ解決されていないように見える。ドライバーには問題が見当たらないだけに、もうちょっとクルマを改善していかないと上には行けないだろう。

ロータス・ルノー: 8/10。速さ十分、その上美しいとなれば、ここ2戦での総合的ベストチームと言ってもいい。少なくとも総合評価ではマクラーレンと比肩しうるチーム。ライコネンは当初こそ不安視されたが、テストでその疑念を一蹴。レースでも、オーストラリアでQ1落ちからポイントゲット、マレーシアでは終盤、FLを連発しながら5位と快調だ。グロージャンも予選・スタートはいいのだが、いまひとつ運が悪いせいか、いまだポイントゲットには至っていない(そのうちポイントを挙げるのは確実だろうが)。シーズン通してこの調子を維持できれば、メルセデスやフェラーリとも互角に渡り合う可能性が出てくるだろう。

フォースインディア・メルセデス: 6/10。去年の好戦績のわりに、今年はまだあまり目立っていないのでやや辛口な評価。去年チームがスーティルを放出した決断が必ずしも正しいものではなかったことを反映している(まあ、暴行騒ぎもあったし止むを得ない側面はあっただろう)。ドライバーのせいなのかマシンのせいなのか、まあもう少し様子を見てから、と言いたいところながら、この意見を連発されるチームというのは得てして「存在感のないチーム」であったり、そうなりやすい。ということはこのチームも・・・

サウバー・フェラーリ: 8/10。マレーシアGPでペレスが2位に入り、フェラーリエンジン1-2を決めるという大金星で躍進。ウェット路面にセッティングがバッチリあたり、さらに優れたタイヤ性能で最終盤までフェラーリを追い立てた。結局最後の最後でミスを犯してしまったが、あのままいっていれば、チームにとって08年カナダ以来の優勝もできたかもしれない。小林は対照的に地味。チームの戦略ミスなどもあって、いまだ本領を発揮というわけにはいかないようだ。あそこで勝っていれば文句なしの10点だっただろう。シーズン終盤にかけてどんどん戦績が下がっていくのが様式美のようなチームだから(それこそ十年前から言われ続けているぞ)、序盤で取れるだけ取ってしまうのも作戦としてはありかもしれない。

STR・フェラーリ: 7/10。去年の時点では、ダニエル・リカルドという人物がいったいどこまで速くF1カーを運転できるのか、誰も正確には知らなかった。現代F1で予選落ちなど喫するようなチームにいたのだから、当然といえば当然だろうが、開幕戦でポイントゲット、オーバーテイクショーとは行かぬまでもポジションを上げた、という点では十分なスコアカードだろう。僚友ベルニュはまだちょっと未知数といったところだが、豪雨のセパンをただ一台、赤旗中断までインタータイヤで泳ぎきったあたり、見るべきものはあるかもしれない。今後に期待だ。

ウィリアムズ・ルノー: 7/10。こちらも、開幕前予想を覆し力走しているチーム。名門ゆえの頑迷さで昨シーズンを棒に振ったかと思えば、名門ゆえの求心力(?)でうまいこと立て直してきた。刷新された技術陣に新しいエンジンで、マルドナドが光る走りを見せているが、どうもいまひとつ完走に繋げられていない。セナは当初こそ凡才扱いだったが、セパンで6位入賞を果たし株を上げた。上位入賞も十分可能と思われる。

ケーターハム・ルノー: 5/10。こちらは逆な意味で前予想の逆を行くチーム。特に2010年、2011年と好成績を挙げ、今年さらなる飛躍が期待されたが、今のところ開幕戦のダブルリタイヤ、マレーシアではノーポイントレースと低迷(現状維持?)している。ドライバーは可もなく不可もなく、特に目立った活躍はまだ見られない。もうちょっと頑張ってほしいところだが、開幕前にライバルと目されたウィリアムズがかなり速くなってきていると思われる現在、上へ上へと上がっていくのは並大抵のことではないかもしれない。

HRT・コスワース: 0.5/10。まさか1点以下を付けざるを得ないチームが出てくるとは予想・・・できていなかったわけではないが、それにしても「惨状」としか形容できないチーム。そもそもこのチームのためのスターティング・グリッドが存在すること自体が大奇跡みたいなもんである。開幕戦で予選落ちを食らって2台欠場、第2戦ではほとんどトップチームのレースをぶち壊すために出てきたような有様。なまじチームの人間は真剣そのもの(だと思う・・・)なだけにいたたまれない。カーティケヤンなぞ、まずバトンと接触してこれを撃沈し、次にはベッテルを撃沈して彼の全身の血管を逆流させる大戦果を上げている。ベテラン、デラロサにも手に余る状況では、今シーズンもたいした進歩は出来ずじまいだろう。

マルッシャ・コスワース: 4/10。相変わらずTVカメラの追跡を全力で振り切るほど遅いが、それでもまだ4回のスタートで4度とも完走しているあたり、少しだけマシにはなっているのかもしれない。パット・シモンズ効果なのかどうか、信頼性の向上というとりあえずの至上命題は目鼻がついたようにも見えるが果たしてどうか・・・。

2012年3月10日 (土)

2012年F1 開幕直前スペシャル

さて、遅ればせながら、2012年F1シーズンも開幕前の2回の公式テスト・セッションを終え、12年を戦う各チームの新車が出揃った(若干名、遅刻組が存在するが)。今季を戦う12チーム、24台のマシンに共通するものは、まずなんといってもカモノハシのごとく張り出した、世にも醜い段差付ノーズコーン。側面衝突の際、高いノーズコーンがドライバーを突き抜けてしまわないよう先端部分(前輪から前)の高さを規制したが、本来が2009年ブラウンGPのようななめらかなローノーズにすればいいものを、鼻下に空気を多く入れたい(ハイノーズコンセプトや、それに伴うノーズ下空気流の活用は、もとはと言えば2009年にレッドブルが編み出したもの)エンジニアたちは、前輪より後ろ(ドライバー寄り)の高さが規制されていないことをいいことに、前輪の軸線上に階段をつけて解決してしまったのだ。これ以外では、エキゾーストブローシステムの全面禁止による排気系統の見直しが上げられる。昨年に続き、今年も排気部分の開発が焦点のひとつになりそうだ。さて、以下に12チームの概要と評価を書いていきたく思うが、この評価はあくまで個人的なものであることに留意されたい。   
   
レッドブルレーシング・ルノー RB8/#1 Sベッテル(D)、#2 Mウェバー(AUS)    
昨年、すさまじい強さでシーズンを席巻したレッドブル・レーシング。運営体制、ドライバー、エンジン、開発陣など、メジャーな部分にまったく変更がない状態で新シーズンに臨む。安定性という意味では一安心できる体制だ。ノーズ以外、新マシンは昨年のRB7のコンセプトを順当に引き継いでいるふうに見える。2回目のバルセロナ・テストには、さらに攻めた設計のいわば「改良版RB8」が持ち込まれていたが、開幕戦では信頼性などの問題から初期型を使用する見通しだという。同チーム所属の名デザイナー、アドリアン・ニューエイの今年の「隠しネタ」はノーズ段差部分の「郵便受け」。ドライバーの冷却用と公式には発表されているが、誰もそんな話を信じちゃいない。かといって本当の目的が何なのかはまだ闇の中なのだが・・・。テストのタイムは驚異的というまでには至っていないものの、安定して上位に入っており、今年も連覇に向けて視界は良好といえそうだ。   
   
マクラーレン・メルセデス MP4-27/#3 Jバトン(UK)、#4 Lハミルトン(UK)    
ポスト・レッドブルの一番手マクラーレン・メルセデスは、今季トップチームで唯一、段差ノーズを採用していない。チーム側によると「昨年からの空力コンセプトを引き継いだ」云々という。おそらく、今年からF1を見始める人の8割、いや9割はマクラーレン・ファンの行列に加わるのではなかろうか。昨年の特徴的なL字ポンツーンは姿を消し、やや腰高な普通のサイドポッドに取って代わられている。こちらも特にテスト段階で大きな問題は見受けられず、すべて至極順調に進んでいるものと見てよさそうだ。今季も、レッドブルを追いかけ追い落とす存在となるだろう。主にバトンが、対レッドブル戦線の尖兵を務めることになりそうだ。気持ちのいい戦いを期待せずにはいられない。   
   
スクーデリア・フェラーリ F2012/#5 Fアロンソ(ESP)、#6 Fマッサ(BR)   
昨年早くから「2012年マシンはかっこ悪い」とネット上で話題を振りまいたチーム。残念ながら、段差をつけた仲間同士の中にあっても、このクルマはひときわカッコ悪く見える。海外では「まるでレゴブロック」と酷評されていた直線的に過ぎるノーズのせいで、全体がダルな印象をまとう。レッドブルに倣い後サスをプルロッドにしたまではよかったが、なんとその勢いで(?)前輪までプルロッド化されてしまった。80年代のローノーズマシンならともかく、近代のF1マシンでこんなアプローチをするメリットがちょっと見当たらない。ドライバーの(貴重な -フェラーリが、テストが進むにつれてドライバーに「緘口令」を敷いてしまったせいだ-)コメントによれば、空力バランスにも問題がありそうである。ドライバーも、アロンソはともかく、マッサがすっかり勢いを失ってしまっているのが気がかりなところ。何より、テストセッション終了後のドライバーが「まだ仕事がたくさんある」なんてことを言っている時点で、今季のリザルトは推して知るべし、であろう。このチームの迷走飛行は、残念ながらもうしばらく続きそうだ。   
   
メルセデスGP W03/#7 Mシューマッハ(D)、#8 Nロスベルグ(D)    
こちらもコンサバ路線まっしぐらなチーム。エディ・ジョーダンもびっくりの「デザイナー青田買い」を敢行、いろいろと有力どころから有名デザイナーをぞろぞろ引き連れて来てデザインしたのがこれかよ、と言いたくならないでもないが、大きく設計思想を変更することによるリスクを考えると、なかなかそうもいかないのだろう。ドライバーラインアップも昨年から継続。救いがあるとすれば、今季大きくリザルトを落とすであろうフェラーリがすぐ前にいるということくらいか。他人の危機に乗じてでも、這い上がってチャンスをモノに出来れば、それ即ちF1においては大勝利、だ。今季は主にフェラーリを追いかけることになるだろうが、果たして追い落とすまでに至るかどうか。   
   
ロータス・ルノー E20/#9 Kライコネン(FIN)、#10 Rグロージャン(F)    
復帰したライコネンと、09年に同チームでレース歴のあるグロージャン。いずれも昨年走ってはいない、いわば「偽ルーキー」コンビだ。マシン名は「エンストン(Enstone)で作られた20台目のシャシー」だそうだが、伝統的にロータスは市販車・レースカー共通の通しナンバーを使用しており(マツダもそう。767とか787とかのアレ)、不可解なネーミングだ。一説には、チーム・ロータスの名称を一年間飽きずに係争していた現ケーターハムのナンバーを引き継ぐのを嫌ったとされている(というか、9分9厘そうであろう)が、真相は語られていない。マシンは段差部分の曲面処理をかなり上手くこなしており、ルックス的には高評価だ。他には、「黒・金」の金色部分が、TV映りを考えてか、よりクリーム色に近い色合いになっている。テスト段階ではライコネンのみならず、09年にバドエルと並んで最遅の評価を得たグロージャンですら好タイムを出しており、あくまでテストとはいえシーズンに向けての期待をあおっている。しかし、テストの最中にフロントサスペンションのマウント部分に剛性不足からくる(と思われる)トラブルが出ており、こちらはあまり安心できるものではない。過度な期待は禁物だろうが、それを差し引いても結構、善戦しそうなチームだ。   
   
フォースインディア・メルセデス VJM05/#11 Pレスタ(UK)、#12 Nヒュルケンバーグ(D)    
スーティルが昨年の喧嘩騒ぎで有罪判決を受けてしまい、テスターだったヒュルケンバーグが正ドライバーに昇格。昨年後半の追い上げ以降、かなり調子の波に乗れてきているが、実力者のスーティルが抜けた後の穴埋めが果たして若い二人に務まるかがやや気がかり。ヒュルケンバーグは2010年に、あのウィリアムズ・コスワースでPPを獲得した実績があるが、まだ実力を測るには早計という声もある。マシンカラーリングはオレンジの面積が増え、なかなか美しいものになった。昨年の勢いもあり、今年も中段グループのリーダーとして活躍するであろう。   
   
サウバー・フェラーリ C31 /#14 小林(J)、#15 Sペレス(MEX)    
こちらも堅実に昨年のコンセプトを引き継いだマシンを用意してきた。カラーリングは黒の面積が増え、またホイールが黒くなったこともあり、より引き締まった印象を受ける。ノーズの段差の処理は非常に直線的なのが目に付くが、他はこれといって特筆しべきものでもなさそう。小林はもう少し安定して上位に入れる走りをすれば、序盤での荒稼ぎの可能性が見えてくる。チーム的には、通弊である「シーズンが進むにしたがって成績が落ちてくる」悪癖を直せるか、だろうか。相変わらずチームの懐事情が厳しいとあっては、ちょっと難しいかもしれないが・・・。最大の問題は、技術面を司るジェームズ・キーTDが開幕前に離脱してしまったこと。チーム躍進の立役者である有能なチーフを欠いた設計陣が、果たしてこのマシンの開発を引っ張っていけるのか、不安が残るシーズンを迎えることになりそうだ。   
   
スクーデリア・トロ・ロッソ・フェラーリ STR7/#16 Dリカルド(AUS)、#17 J-Eベルニュ(F)    
フォースインディア同様、昨年後半とみに力をつけてきたチーム。序盤のノーポイントレースがたたり、サウバーにあと半歩及ばぬところでシーズンを終えてしまったが、あと5、6ラウンド、いや3ラウンドでもあれば、順当に逆転できていたかもしれない。今年の活躍ぶりも大いに期待できる・・・などと言っていた矢先に、なんとチームは有能なドライバー2人をいっせいに解雇し、レッドブルのジュニア育成プログラムから新たに2人の若武者を引っ張ってくるという「暴挙」に出た。この選択が最終的に正しいものかどうかを論ずるには、少なくとも開幕2~3戦が過ぎるまで待ったほうがいいとは思うが、他チームがつけ込むべき不安要素があるとすればこれだろう。マシンは「脱・レッドブル」色をいっそう強めており、ドライバーの活躍しだいではいい位置に付けてきそうなチームだ。昨年、フォースインディア・サウバーとの戦いの続きを見られるとすれば、喜ばしいことではないか。   
   
ウィリアムズ・ルノー FW34/#18 Pマルドナド(VZ)、#19 Bセナ(BR)    
「斜陽の名門」とはべたな表現だろうが、このチームはもはや「斜陽」を通り越して、ほとんど夜になりかかった状態である。フランク・ウィリアムズとパトリック・ヘッド、言葉は少々きついが二人の老人による旧態的な運営、もっといえば名門チームの矜持に固執しすぎたツケともいえる。一時期の栄華をともにしたルノーエンジンの獲得によって、風向きは多少なりとも変わることが期待されている。が、テストのタイムを見る限り、期待はあまり叶いそうにない。昨年のマクラーレンのような例もあるにはあるが、このチームにそこまでの体力はなさそうである。バリチェロを切り捨てブルーノ・セナを起用したのも金のためでしかないだろう。マシンもFW33のノーズコーンにただ階段をつけただけのような代物で(昨年問題になったリアサスマウント周辺もほったらかしに見える・・・)、お世辞にも速そうとはいえない。2011年と同じくらい苦しいシーズンが待ち受けることは、まさに火を見るがごとしであろう。或いは彼らが見ているのは、自分の台所の火の車なのか・・・。かつて旧ロータス、ブラバム、はたまたティレルといった同郷の名門がたどった足跡を、ウィリアムズは確実になぞっているように見えてならない。   
   
ケーターハム・ルノー CT01/#20 Hコバライネン(FIN)、#21 Vペトロフ(RU)    
一年目の半ばあたりですでに「員数合わせ」から脱却し、昨年、中段グループへの足がかりをつかんだ、上昇気流に乗る新進チーム。マレーシア政府による手厚い援助・庇護もあり、先行きは安泰に見えるが、すでに一回目のテストで走行しているトゥルーリを土壇場で降ろし、豊富なロシアン・ルーブルの束をバックに持つペトロフを起用したあたり、財政的な苦悩が見え隠れする。マシンは各チームの中で最も早く、1月26日にウェブ上で発表され、世間に段差ノーズの何たるやを(悪い意味で)印象付けた。しかし全車出揃った中で改めて眺めると、最低限、段差を滑らかに処理しようという努力はうかがえる。チーム名が変わっても、深緑・黄の好感が持てるカラーリングは続投のようだ。今年の目標は非常に明確。ウィリアムズを切り崩し、ポイントを獲得することだ。今現在のチーム状況、士気からして、難しい目標ではないだろう。   
   
HRT・コスワース F112/#22 Pロサ(ESP)、#23 Nカーティケヤン(IND)    
チーム首脳に往年のF1パイロット、ルイス・ペレス・サラを起用、ドライバーもリウッツィに変えてデラロサを抜擢と、スペイン色を増しているチーム。しかし裏を返せば、止まらない人材流出に対する苦しい穴埋めの一端でもある。マシンはテストセッションに間に合わず、セッション終了後の月曜日、撮影日を利用しての限定的なシェイクダウンにとどまった。マシンは段差なしノーズながら、それなりにうまくまとまったデザインで、なんとなくターボエンジン発禁直後の、新規参加チームが限られた予算で用意したモノコックを連想させる。カラーリングは初期フォースインディアを連想させる、白地に赤・金のアクセント。こちらも見た目は好ましく映る。カーティケヤンの持ち込んだインディアンマネーをカラーに反映した、ということか。しかしいくら見目がよかろうが、それだけで速く走れるはずはない。スカスカのチーム状態では、今年もマルシャと最下位争いに終始するのが関の山といったところだろう。   
   
マルッシャ・コスワース MR-01/#24 Tグロック(D)、#25 Cピック(F)    
まったく走らなかったジェロウム・ダンブロシオの代わりに、新人チャールズ・ピックを起用。こちらもクラッシュテストに手間取ったせいで、オフテスト期間中に新車が間に合わなかった。ヴァージン成分がさらに減ってチームの経営権がロシアに渡り、通しナンバーも01から振りなおされる。こちらも目立った段差はついていないが、ノーズ部分に控えめな突起が設けられている。デザインは堅実なほうだが、パット・シモンズが設計を受け持っている。カラーリングは白部分がなくなり、赤・黒のツートーンとなった。マシン、ドライバーとも特に目新しいものはなく、リザルトも昨年と同程度のものにとどまることになるはずだ。HRTよりは速く走りたいところだが果たしてどうか。   
   
さて、2012年のF1シーズンは来週金曜日、3月16日のフリー走行セッションをもってスタートする。当面の注目は、「レッドブルは独走を続けるのか」、「誰がレッドブルを止められるポジションにつくのか」といったところだろう。上位数チームよりも、そのすぐ下、中段数チームの間で特に激闘が予想される。去年が去年だっただけに、今年こそは群雄割拠、面白いシーズンになることを期待したい。   

2012年3月 4日 (日)

第8回MMD杯総括

どうも、SimacherPです。今回開催された第8回MMD杯も、さる3月3日・日本時間21時をもって全行程を紹介し、無事閉幕しました。今回もはるかマレーシアから動画を作って意気揚々とエントリー・・・しようとしたはいいのですが、例のPCトラブルのせいで大幅に製作が滞り、不本意ながらいわゆる「Last-Minute Work」となってしまいました。そんな中でも動画2本を作って開催期間内に上げられただけで大勝利、という見方も出来る(・・・のか?)かもしれませんが、結局のところ、やはり前回杯の戦跡を越えることは出来ませんでした。それでも、皆さんの応援のおかげで、目標であった入賞こそなしえませんでしたが、それぞれ「3536再生/120コメント/222マイリスト」、「3212再生/65コメント/104マイリスト」(数字はいずれも大会終了時点でのもの)を達成することが出来ました。ありがとうございました!   
   
    
   
さて、左の動画が今回のいわば「本命」、「ファーストカー」的な存在。製作は急ピッチでしたが、GT5の素材はPCに依存しないので撮りだめできたため、間に合わない、という状況は避けることが出来ました。構図など、一部前回杯のボツアイデアを再利用したりもしています。また、時間のなさ(?)の影響が全体的にカット割り、構図、あるいはクルマショットの多さ(そんなに多くはないと思いますが、私の作品にすれば「比較的」多いほうですね)に出ていたりしますね・・・次回こそはまともなものを出さなければ。   
   
解説的なことを書くと、この「An Anxious Object」というタイトルは、BGMの"Ouroboros"を演奏しているバンド「Mouse on the Keys」(日本のインストバンド。日本ではぜんぜん知名度がないようですが、もっと評価されたいバンドです。筆者的にSpyro Gyraが日本チックになった感じでしょうかね)のアルバム名からとっています。動画説明文にもありますが、「Anxious」というのは英語で「気がかりな、心配な」という意味で、Anxious Objectはすなわち「気がかりな物体」。これはつまり写真の「中にいる」ミクさんのことでもあるし、或いはところどころ、ミスマッチに配されたレーシングカー、スーパーカーたち(例・冒頭で人ごみの中にたたずむ全日本仕様GT-R)のことでもあります。いわゆるパーシャルカラー、白黒の背景の中でクルマだけ・ミクだけがカラーで浮き立っていたり、ミクのカットがほぼすべて全身を映したもので、なおかつ多くが「目線」をもらっていない、というのも、この「Anxious」の延長線上の演出です。・・・で、種を明かしますと、冒頭でいくつか出てくる「白黒→マシンだけカラー化」の演出は動画ファイルを出力する直前になって考え付いたもので、「Anxious」云々のくだりはMouse on the Keysへのインタビュー記事(ネット上のどこか。Mouse on the Keysでググれば割とすぐ出てくるはず)から着想を得ています。それと、レースカーがいっぱい出てくるのは、いつぞやの動画だったか生放送だったかで、「こういう動画にレースカーは似合わない」という意味のコメントをされて、レースカー好きな筆者が躍起になっただけです。要するに、あんまりごちゃらごちゃらと裏でコンセプトを練りすぎると受けない、ということですね。ただ、この「Anxious」の考え方、演出は自分でも結構気に入ってるので、またいつぞや引っ張り出してくるかもしれませんね。というわけで、コメント返し行ってみましょう。   
   
>変態画質!   
一般会員の上限・600KBpsの範囲内で、音割れ覚悟の画質552/音質48です。ためしにエコノミーモードにして視聴してみたところ、音質はひどい有様でしたが画質さんはちゃんとがんばってくれていました。音MADとかではないので許してや? 城の内・・・   
   
>色が変わるところとかハッとさせられる   
がっかりさせて申し訳ないですが、上記のとおりあれは臨時に考え付いたものです。お褒め頂き恐縮です。   
   
>庭先にレース仕様のGT-Rとかw   
あったら素敵だよね。   
   
>GT5に、ミクZ4が収録されていれば・・・   
S-GT・GT300で活躍中のあれですね。あったら面白いかもしれませんが、出ても私の動画ではちょっと使わないかもしれません。ああいう手合い、苦手でしてね・・・。   
   
>RX-8が無い・・・だと?   
あ、忘れた・・・。そもそもまだRX-8って買ってなかった気がするなあ。787Bなら持ってるんだがな・・・。   
   
>カラーだとモデルのほうがコントラストきつい時があるね   
そうですね、MMDモデルは一般的に現実世界の物体と異なる光の当たり方みたいな感じです。ただ今回、うしろのGT5写真を調整して(やり方は当ブログの過去記事で解説してます。これの一つ・二つ前のですね)いるので、MMEとあいまって多少は中和できたはずです。いかがでしょうか。   
   
>クルマは実写だよね?   
いいえGT5です。   
   
>本当はくっきり影(筆者注・MMD出力したミクさんの影のこと)はできないけどね   
そうなんですよ・・・本当はフォトジェミック画像一枚作るたびに地面影をぼかす作業が入るんですが、今回かなり焦っていたため、最終作業をしていないまま上げちゃった写真が若干、存在します。平にご容赦を・・・   
   
>そういう現実世界とのズレで仮想世界ということに気付いてしまうんだよな   
タイミング的に上のコメントへのレスポンスでしょうか。これってやっぱりどこかで気づかせたほうがいいのか、それとも完璧に「仮想世界のにおい」を消したほうがいいんでしょうか? どっちもどっちでなかなかいい気がしますが・・・。   
   
>Mouse on the Keysはもっと有名になってもいい   
まったくです。今まで2枚しかアルバム出してないですが、私の中ではもうすでに日本で一、二を争うインストバンドです。早くブレイクして欲しいものですね。   
   
>MMDというよりこの人のセンスがすばらしい   
うっひょおおおおおおおおおおきたこれえええええええええ(ry ・・・えー、すんません。非常に歯の浮くコメント、ありがとうございました。   
   
>マレーシア在住の千早スキーのはず>simacherp   
私が何者であるかとの質問に対する回答ですかね。そのような質問コメは見当たりませんが、合ってるといえば合ってます。現在MMDにシフトして活動しているので、誰か大百科の内容とか編集していただけると助かります。アイマス動画は・・・またネタが浮かんだ時に・・・? あ、でも千早スキーは継続してますよ。   
   
>この動画をフォトフレームに入れてボーっと眺めたい   
HD版がYouTubeに上がっている(URLは動画説明文内)ので、それをDLしてPSPとかで眺める、ってのはどうでしょうか。その辺あんまり詳しくないんでこれ以上アドバイスはいたしかねますが・・・。   
   
>CGと実写の境目がわからん・・・(後略)   
ありがとうございます。他にも似たようなコメントをしてくださっている方が何名かいましたが、この科白って、フォトジェミックに限らず、実写合成的なことをやっているすべての人に対する、最大限度の褒め言葉じゃないでしょうか。   
   
さて、次の動画。グリーンデイの「アメリカン・イディオット」のダンスPVを以って、東方MMD-PVの処女作(MMD静止画なら、これより前にも作ってますが、例によって埋もれているし、掘り起こす気もあんまり無いのでここではとりあげません)とした作品です。作品といっても、原曲を聴いていて「じゃあこんな動画どうだろう」という感じで思い浮かんできたのをそのまま上げただけなので、山なし落ちなしです。こんなんで出場しても100以上マイリスしてもらえるのがMMD杯のすごいところ、ですね。実はこちらの動画もYouTubeにHD版が上がっているので、動画説明文から見に行ってみてはどうでしょうか。では以下、コメント返し行きましょう。   
   
>このダンス、けーねのスカート勿体無いね 足の動きがいいのに   
そういえばそうかもしれません。特に慧音はロングスカートなので、足がほとんど隠れる服装です。破綻を抑えるのにけっこう気を使いましたが、破綻するような衣装にはもとから向いてない、ということでしょう。それを考えると、このモーションはそもそも「スカート向き」じゃなかったのかも。   
   
>画質が厳しいな   
この動画、上のとビットレート配分が違うんですが、やっぱり一般会員の厳しさでしょうか。以後は552/48で統一したほうがよさそうですが、それだとエコノミーで音割れが・・・悩ましいところです。   
   
>カッコいいのに、なんだろう? 何か足りない気がする   
>けーねの表情はもっと弾けてもよかった/表情あるといいな   
>悪いところが無く、しかし遊びも無いのでモーションすごいで終わってしまうかな   
実質、下の一文でほとんど答え出てますね・・・汗 あんまり後先考えずに作ったせいで「遊び」に何を入れるか考える余裕がありませんでした。着想からうpまで24時間以内で仕上げるとこうなる、という典型例ですね。次こそは構想段階からまじめに作ったPVを出したいものです。今の台詞が何か変なフラグにならないことを切に祈ります。   
   
>この曲ピー音がない?あったような気がするのに   
YouTubeで見つけてきた音源ですが、ピー音入ってませんね。ニコニコ版は入ってたはず。   
   
>カメラワークや効果は好きだなwシンプルisベスト!   
シンプルイズベスト、ジョン・バーナードイズムの極致。いいですねえ、大好きです。だから動画も伸びません(笑   
   
>ダンスはオリジナル?トレース?   
「親作品」設定欄にもありますが、根性Pの配布モーションをお借りしてございますだ。プラスちょいちょい破綻修正、ですね。   
   
>本選リスト真ん中あたりだし過疎るのは仕方ない   
ほほう、つまり次回杯の作品は来週うpしよう、ということですか。先んずれば人を制す、ですね。   
   
というわけで、今回杯はホップ、スッテプときてジャンプの段階でけっ躓いた形になるわけですが(かっこ悪いなあ・・・笑)、この状況、まさに2007年入賞、2008年優勝ときて、2009年チャンピオン、のところで盛大にコケた旧・BMWサウバー、あるいはこれまた最後で躓いたジャッキー・スチュアートの「スチュアート・フォード王座五カ年計画」に通ずるものがあります。その後サウバーはフェラーリエンジンを得て中段に返り咲き(それ以前の戦跡を考えると逆戻りか・・)、スチュアートはジャガーと名を変えレッドブルに買収されチャンピオン街道まっしぐら。むろん筆者としては後者を期待したいですが、その辺は次回杯までとっておきましょう。それでは、次の動画で会いましょう。応援、ありがとうございました。   
   
SimacherP

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    主にMMDで作った静止画を上げています。最近はこっちの頻度のほうが高いですね。
  • Racing Sports Cars
    ル・マンや旧WEC/WSPC/SWC、さらには旧WCMなど、スポーツカー・レースの参戦車両の膨大な資料写真を有するサイト。ドライバー別・車種別検索機能完備。F1もちょびっとだけあります(70年~82年)。
  • F1-Facts
    1950年イギリスGPより、F1に関する全記録を蒐集・公開しているサイト。各年度リザルトページからマシン一覧・写真ページに飛ぶことができます。あなたの知らない名車に出会えるかも。IEは右クリックでの画像保存が出来ないので、PCに保存する際はFireFoxなどを使用してください。
  • 誰得 (boulog)
    謎多きF1マニア(?)、bou_ckさんのブログ。「Wikipediaに載ってないような脳内資料置き場」を標榜するだけあって、その名に恥じぬディープ過ぎるF1マシン解説!Wikiどころか、ネット上にもそうそう無いようなマシンが目白押し。ちなみに「誰得」とは「誰が得するんだこんなもん」的意味合いのフレーズ。 2015.12.13追記: このほどYahooブログからfc2ブログに移転されました。
  • 作ったもの一覧。
    私の動画作品一覧です。気力の低下と更新頻度の低下はすべからく連動しています。