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2012年8月

2012年8月11日 (土)

2012年F1・ハーフディスタンス採点表

先日のF1グランプリ第十戦、ハンガリー・グランプリをもって、今季のF1選手権も半分が終了した。夏休みを経て、8月31日にはじまるベルギー・グランプリから後半戦に突入していくのだが、ここでどのような勢力変化が起きるのかも興味深いところ。では、シーズン半分を消化したところでの各チームのパフォーマンス、下馬評との食い違いはどれくらいのものだったのだろう、というのをまとめてみた。今回はチーム以外に、ドライバー個人に対しても10点満点で採点を行なっている。以前書いた「シーズン前予想」や「序盤採点表」と見比べてみて、各チームどれくらいの前進・後退があったのか、見比べてみるのも面白いだろう。

レッドブル・ルノー 6/10 (Sベッテル 6/10、Mウェバー7/10)
決して遅くはないのだが、けっきょくシーズン前半戦で勢いに乗ることはかなわなかった。ライバルチームが相対的に力をつけてきて、いわば不本意なポジションで戦っている状態だが、過去二年、マシンのおかげで「乗れて」いたようなところがあるベッテルには、これは堪えるだろう。彼が「ただの若造」から正真正銘の「チャンピオン」へと躍進するカギは今シーズンにある、とも言える。ここで腐って投げてしまったらおしまいだ。ウェバーはようやく「影の薄い脇役」というありがたくない先入観から脱却しつつあるのだが、それもチームの状況次第なので、ことによっては後半戦は厳しいスタートになるかもしれない。開発能力には文句のつけようもないチームなので、手遅れになる前にどうにか躍進の足がかりを掴みたい。

マクラーレン・メルセデス 5/10 (Jバトン 4/10、Lハミルトン 6/10)
こちらも不振組。トップチームで唯一、開発の方向性が違う方を向いているチームなのだが、ここのところのチーム関係者・ドライバーの発言を見ると、どちらも暗に開発の失敗をほのめかしているのがわかる。特にバトンは、車があわないのか序盤以降は大苦戦。それでもほぼ毎戦のようにどこかしらにアップデートを投入し、必死の挽回を試みてはいる。ハミルトンがようやく力走を見せ始めたのが救いといえば救いか。とはいえまだ絶対的に速くなっているわけでもなく、継続的な開発努力が望まれる。

フェラーリ 7/10 (Fアロンソ 8/10、Fマッサ 4/10)
アロンソはおそらく今季ベストドライバーの資格を持つだろう。攻めるところと抑えるところをきっちり分けてきて、たとえば通常ラップを流し気味にしてインラップのためにタイヤをキープする走り方など、彼の頭脳的な面がよく出ていると思う。若いころは一種「中二病」のような性格だったアロンソも大人になったのだろう。マッサのほうはもうどうしようもないのだが、かといって彼に代わるほどの有能なドライバーが控えているわけでもなく、またマラネロにおける彼の妙な人望と相まってフェラーリの椅子につなぎ止められている。BSタイヤの元開発主任・F1タイヤのエキスパートである浜島裕英氏の加入で、タイヤマネジメントにおいて他チームに一歩先んじようという気概も見て取れる。2008年や2010年のようなバカな戦略ミスをしでかしていないだけ、ここまでのフェラーリには期待要素は多いだろう。

メルセデス 5/10 (Nロスベルグ 6/10、Mシューマッハ 3/10)
トップチームの端くれではあるのだろうが、どうにも全体的に遅い。メルセデスエンジンはある種「パワーで押せ押せ」的な性格のエンジンなので、タイヤにはさぞかし厳しかろう。もとからタイヤにやさしくないこのチームの車にはお世辞にもベストフィットとは言いがたいのだろうが…。ロスベルグは中国GP以降は堅実な走り方にシフトした感じ。シューマッハは速さはあるのだろうが、いつも運の悪さにたたられてか全くチャンスが生かせない。これではロスベルグの初優勝も遠からず霧の彼方へ霞んでいってしまうだろう。メルセデスにF1撤退の噂がつきまとう中、レースの神様に「勝利」という供物を献上しないことには、状況はさらに難しくなっていくばかりだ。

ロータス・ルノー 8/10 (Kライコネン 8/10、Rグロージャン 5/10)
「勝てる勝てる」と言われながら一勝も挙げずに前半戦が終ってしまったロータス。ライコネンは復帰初年度から、さすがチャンピオンという走りを見せてはいるが、どうも慎重すぎるきらいがあるように見える。仕掛けどころでもたつかずにズバッと仕掛けていくだけの度胸はあるはずなのだが(もっとも、その慎重さこそが彼の持ち味、という見方もできるが)…。グロージャンは一発の速さはそこそこのものながら、まだレースを通してのペース配分がヘタクソな様子で、もうちょっと慣れてこないと安定して上位には来れない気がする。チームとしてはライコネンに集中するのが得策かもしれないが、いずれにしてもどこかで優勝しないとチャンピオン・タイトルは厳しいだろう。

フォースインディア・メルセデス 6/10 (Pレスタ 7/10、Nヒュルケンバーグ 6/10)
中堅数チームの中ではたぶん一番速い。のだがどうも存在感が薄い。速いでもなく遅いでもなく、淡々とレースをしているからそう見えるのだろう。今のところはサウバーの茶番劇とトロロッソのドライバー選定の失敗によって、自動的にこの位置にいる感じが否めない。チーム側は先だって、リソースを来季用の開発にシフトすることを正式に発表した。つまりこれ以降大幅なアップデートは行われないということになり、後続数チームには多少なりとも戦いが楽になるだろう。どうもドライバーの影が薄すぎて採点のしようもないのが問題といえば問題か。

サウバー・フェラーリ 3/10 (Sペレス 8/10、小林可夢偉 5/10)
車も速いし、ドライバーも揃って腕が立つ。となるとあとは作戦ぐらいしかない。マレーシアやスペイン、ドイツなど、定期的に好成績を上げているが、なにぶんそれを帳消しにするようなつまらないミステイクが多すぎる。作戦がダメならピットワークもダメ、これではドライバーの心は荒んでゆくばかりだろう。チーム代表のペーター・サウバーが一部のドライバー(ハイドフェルド、フレンツェンなど)からの評判がよろしくないのも気がかりだ。ペレスは若い速さを評価して多めに点を入れたが、もうちょっと落ち着いた感じの走りを身につければ優勝が見えてくるだろう。小林は最近焦りすぎだと思うが、チームがあんな状態では責めるべくもない。抜本的な体制の改革が必要なのだが、チームの体力が思わしくない現状ではそれは難しいことかもしれない。若い才能を揃って叩き潰してしまうことのないよう願うばかりである。

トロロッソ・フェラーリ 2/10 (Dリカルド 4/10、Jベルニュ 3/10)
開幕戦でいい位置につけていて、今季に向けての期待を抱かせたのも今は昔、といった様相である。すくなくともブエミとアルグエルスアリ、どちらか一人でも残っていればこんなことにはならずに済んだかもしれないのだ。ベルニュはまだまだクラッシュも多く、実力は足りない。バレンシアではケーターハムに接触して消えてしまったが、一度こういうことをやらかしてしまうとチームからは信用されなくなってしまう。このままでは本当に「入賞一回のみ」でシーズンが終りかねない勢いだが、この重要時にTDのジョルジュ・アスカネリが離脱との噂が聞こえてきた。どうやらトスト代表とうまくいっていないらしいのだが、無理もない。いまのトロロッソは、他チームとレースをするための「F1チーム」ですらなく、「若手用のF1一年体験コース」のようなものなのだ。もともとチームの主要メンバーだったベルガーは、多分こうなることを見越して身を引いたのだろう。はやく「ベッテルを育てる夢」から醒めたほうがいい。

ウィリアムズ・ルノー 6/10 (Pマルドナド 4/10、Bセナ 5/10)
安定した入賞にはまったく問題ないのだが、なにぶんにも不要なクラッシュが多すぎる。マルドナドははやくGP2的な思考回路から脱却した方がいい。セナは奮闘しているようだが、もうちょっと存在感のあるレースがしたいところ。チーム的に問題が見当たらないのがポジティブ要素なので、完走率がもうちょっと上がれば自ずから連続入賞の道筋も見えてくるだろう。今シーズンになって大いにクラッシャーとしての名声を上げたマルドナドだが、来年彼はどんなことになっているのだろうか。余談ながら、チーム首脳は若く才能のあるテストドライバーのバルテリ・ボッタスにぞっこん惚れで、いつかレースシートを用意してやりたいとの魂胆のようである。セナは気をつけた方がいいかもしれない。

ケーターハム・ルノー 3/10 (Hコバライネン 5/10、Vペトロフ 5/10)
相変わらずTVに映らないレースばかりしている。昨年の勢いはどこへやら、ドライバーは平均点以上の仕事はしていると思うのだが、まったくもって改善が見られない。小規模なチームなので開発やアップデートに限界があるのだろうが、それにしても開幕前の期待が大きかっただけに失望感もひとしおだ。下位2チームほど絶望的に遅くはなく、かといってウィリアムズのしっぽを掴むほど速くはない。いわば戦う相手のいない一人旅である。これが面白いはずもなく、コバライネンには複数チームへの移籍話が浮上している。今季がこのまま終ってしまうとしたら寂しい限りである。

HRT・コスワース 2/10 (Pデラロサ 6/10、Nカーティケヤン 2/10)
底辺チームでとてつもなく遅い、というのはわかるのだが、いつも同じようなところばかり走っていて評価のしようがないというのが実情である。正直に言って、こういうチームの採点をするのは非常に面倒くさい。デラロサはたんにドライバーとしてだけではなく、サラと共同でチーム全体を牽引していく大仕事をこなしているあたり、評価は高めだ。カーティケヤンはいつ消えても驚かない。そもそも気づくかどうかも疑問である。

マルッシャ・コスワース 3/10 (Tグロック 3/10、Cピック 4/10)
はっきり言う。何を書けばいいのやらまったくわからない。グロックは車の批判をしはじめたが、チームの信を失することも覚悟のうえなのだろう。パット・シモンズのご威光もここまで、といった趣か。ピックは若手急進株と取りざたされたりしているが、このチームではやはり評価のしようもない。グロックなど、なまじ才能があるだけに、こんなところでキャリアの余生を静かに送るだけの生活をしているのが残念でならない。

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