« MMD静画講座 ~影の付け方いろいろ~ | トップページ | 2012年総括的な何か »

2012年12月30日 (日)

2012年F1グランプリ・シーズン総括

今年のF1は、ひさびさに「面白い」といえるシーズンだったのではないかとぼくは思う。たしかに後半になるにつれて、序盤のワクワクした感じというのは無くなっていってしまったが、性能的に劣るはずのフェラーリに乗るフェルナンド・アロンソが最終戦までレッドブルのセバスチャン・ベッテルを追い回し、じつにわずか2点の差でベッテルの前にやぶれたのである。すくなくとも去年のように、誰か一人の独走劇ではやばやとタイトルが決まるところを見せられて、観客が飽き飽きしてしまうような展開にはならずに済んだだけ、今シーズンは決して退屈ではなかっただろう。最終的に異なる六つのチームから八人ものウィナーが誕生した今シーズンは、あらゆる意味で歴史に残る一年となるに違いない。以下、今シーズンの全チーム・ドライバーを10点満点で採点した結果を記す。シーズン全体の成績や走りっぷりなどを評価に入れての判断だが、もし多少の独断や偏見、個人的推論に基づいた採点とおもわれるところがあれば、それはぼくの責任である。 (31/12 一部改稿)

レッドブル・ルノー 8/10 (Sベッテル9/10、Mウェバー6/10)
今年も前年に引き続きダブルタイトルを獲得したレッドブル。若く速いドライバー、有能なデザイナー、それをバックアップできる潤沢な資金と、必要な物が全て揃っているのだから当然の帰結だろう。個人的にはあまりおもしろい結果ではないのだが、事実は事実であるし、彼らがすばらしい働きで序盤戦の遅れを帳消しにしてしまったことも確かだからだ。ベッテルはまだまだ若いが、最年少でトリプルクラウンを手の内にし、順風満帆といった感じである。まあ車が車なだけに、どこまで彼の実力なのかというのが測りにくいのはあるかもしれない。ウェバーは中盤辺りまでは上手く行っているように見えたのだが、その後選手権の趨勢が固まるにつれて生気が無くなっていったのが気になった。昔の彼らしい、闘志あふれるファイターぶりをもう一度見せてほしい。

マクラーレン・メルセデス7/10 (Jバトン6/10、Lハミルトン8/10)
レッドブル、フェラーリとならんで今季トップ3の座にすんなり収まった名門チーム。開発方向の失敗で序盤低迷を続ける中でも、エースのバトンをさしおいてハミルトンが力走を重ね、ひとびとに深い印象を与えた。全体的にピットミスやメカニカルトラブルなど、名門らしからぬつまづきがあちこちで目についたため点数は低めだ。相次ぐギヤボックストラブルやエンジントラブルがなければ、特に終盤戦においてコンストラクターズ選手権での対フェラーリ戦がより楽になったかもしれないのだ。バトンは全体的に不発の年だったと言わざるをえない。来年は若きチームメイトのセルジオ・ペレスがやってくるが、この二人の戦いも楽しみである。

フェラーリ 5/10 (Fアロンソ10/10、Fマッサ8/10)
レッドブルが「チーム力」でタイトルを取りに来たとすれば、こちらは完全に「ドライバーの力」でタイトル争いに踏みとどまっていた。どんなに素性のいい車でも、そこから熟成できなければ意味が無い。アロンソによると、F2012は5月の時点で完全に開発はストップしていたのだという。いちおう終盤戦に向けて排気系等がアップデートされてはいたようだが、マッサの調子が良くなるばかりでアロンソにはなんの助けにもなっていないように見えた。そんな車で彼は最終戦までチャンピオン争いに望みをつなぎ、頭上にチェッカーフラッグが舞う瞬間までアクセルをゆるめることをまったくしなかったのである。ベッテルを若い速さとすれば、彼の走り方はベテランの走り方である。ペースを上手く出し入れしてタイヤを使い切る、頭脳派な戦い方だ。二ポイント差で涙をのんだ責任はおそらくチームにこそあるだろう。マッサも序盤こそ「どこを走っているのかわからない」状態だったが、終盤になるにつれて復調。アメリカグランプリでは戦略的なグリッドダウンを受け入れながら (賛否両論あるが、個人的には英断だったと思う)、アロンソのエスコーターを最後までつとめきった。それだけに、アロンソのベルギーと鈴鹿での取りこぼしが悔やまれるのである (いずれも不可避のアクシデントといえばそれまでだが…)。

メルセデス 4/10 (Mシューマッハ6/10、Nロスベルグ5/10)
今年の初め頃にロス・ブラウンが車の設計上の問題を挙げていたが、けっきょくリザルトを見ると最後まで改善されなかったようである。ロスベルグがいちおう中国GPで勝ってはいるが、その後の走りっぷりを見るとあれは棚ボタ以外の何でもないような気がしてくるから悲しいものだ。シューマッハも凡ミスというか、「らしくない」シーンが多々あったものの、モナコGPでのポールを評価しての採点。引退間際のいい土産になったことだろう。特に後半戦において、まったく活躍らしい活躍はしてくれなかったといっていい。来年はシューマッハにかえてハミルトンが移籍してくるが、開発ミスでまたしてもシーズンを棒に振るような展開にならぬよう祈るばかりである。

ロータス・ルノー 8/10 (Kライコネン8/10、Rグロージャン4/10)
こちらも善戦敢闘、比較的ちいさな世帯のチームながら、開幕前の予想通りトップチームによく食らいつく戦いぶりを見せてくれた。ライコネンの復帰後初優勝はすこし遅かったような気もするが。チームそのものにとっても今季の好戦績は予想外だったらしく、ポイントを取りすぎてスタッフへのボーナスが滞るというウソみたいな本当の話まであった。グロージャンは特にベルギーや鈴鹿での大クラッシュでほうぼうの悪評を集めたが、速さで言えばそこそこ速い部類に入るとは思うので、来年こそが正念場、といったところか。本人曰く「今年は気合が空回り気味で、ルーキーミスを犯してしまった」とのことなので、来年はもうすこし落ち着いて走ってもらいたいものである。

フォース・インディア・メルセデス 7/10 (Pレスタ7/10、Nヒュルケンバーグ8/10)
開幕当初から「あまり目立たない存在」だったが、レスタ、ヒュルケンバーグ両ドライバーとも随所で光る走りを見せてくれた。特にヒュルケンバーグがブラジルで見せたリードラップは、2010年のポールポジションに続く彼のキャリア・ハイライトたりえるだろう。最終的に五位で終ってしまったが、若い速さという意味ではこの男もマークしておいて損はないはずだ。シーズン中、オーナーのV.マルヤが自身の航空会社関連の事件であやうく逮捕されそうになる一幕もあったが、チーム事情はまだ当分安泰のようだし、将来性はあるチームだろう。


サウバー・フェラーリ 5/10 (小林可夢偉6/10、Sペレス8/10)
チーム的には序盤戦での作戦ミスやらピットミスの嵐でずいぶん印象がわるくなったが、後半戦になるとさすがにその辺は鳴りを潜めてきた。ペレスがマレーシア二位、カナダ三位、イタリア二位と三度の表彰台を獲得し速さをアピールした一方で、小林はホームグラウンドの鈴鹿で三位を得ながらシートを失った (このへんは彼のマネージメントのまずさとか、認識の甘さといったものが影響していると思うのだが、今回はひとまずその辺は採点に加味していない。彼の顛末記だけで記事一本書けそうな勢いである)。小林/ペレスのコンビは「攻めのペレス、守りの小林」といった趣でじつにバランスがとれていたと思うのだが。ペレスの速さはやはり本物というか、さすがと言うべきだが、後半戦でポカが多発しているのが気にかかる。つくづく、両極端な走り方をするドライバーである。ペレスは派手な速さ、小林はどちらかというと地味臭い速さで、そのうえ小林もどうもツメが甘いというか、ケアレスミスのようにしか思えないような大ポカ (イギリスGP、ヨーロッパGP、韓国GP) をやらかしている辺り、サウバーの査定に影響したのかもしれない。

STR・フェラーリ 6/10 (Dリカルド6/10、Jベルニュ5/10)
まあ可もなく不可もなくというか、じつに淡々としたシーズンであった。ふたりのルーキードライバーは開幕戦で入賞こそしてみせたものの、それ以降は入賞圏の外縁をうろうろするばかりで進展がない。けっきょくサマーブレイク後の猛烈な追い込みでポイントを重ねたが、前にいるサウバーやフォース・インディアとの距離は去年よりも間違いなく開いている感じだ。もしこれでドライバーが去年のままだったら、とふと思ってしまうが、ここは素直に若造二人の学習能力に期待するほかないだろう。

ウィリアムズ・ルノー 7/10 (Pマルドナド7/10、Bセナ6/10)
前年の大不振から一転、今季は八年ぶりの優勝をあげるなど躍進の年となったウィリアムズ。マルドナドは今年に入ってクラッシュ癖がひときわクローズアップされる結果となったが、予選のペースはシーズンを通してなかなかのものであった。ベネズエラから莫大なスポンサーフィーをもたらしており、将来性もあるのでチームにとっては手放したくない人材だろう。セナは凡庸な戦績で終ってしまったが、チームがぞっこん惚れしているボッタスに金曜FPのシートを奪われるなど、割を食っているようなところが否めなかった。しまいにはレースシートまでぶん取られてしまうのだから悲しいが、彼には新天地での活躍を期待したい。

ケーターハム・ルノー 3/10 (Hコバライネン6/10、Vペトロフ4/10)
昨年の大躍進から一転大スランプという、ウィリアムズと逆のコースを行っているようなチーム。去年の暮までコース上でウィリアムズの尻を追い掛け回していたというのに、である。戦犯はおそらくデザイナーのマイク・ガスコインだろうか。小規模チームゆえ開発が速くないのは仕方ないとしても、今季は遅さがあまりにも目立っていた。コバライネンが開幕戦以外ですべて完走しているのはやはりベテランの意地、元マクラーレンの面目躍如というべきか。ひるがえってペトロフは精彩のないシーズンだったが、ブラジルでひたすら地味に11位完走を果たし、ライバル・マルッシャからコンストラクター選手権の順位 (とそれに付随してくる分配金) をもぎ取ってきたのが見せ場といえば見せ場だった。チームがこのまま没落していきそうな勢いなのは寂しい限りだが、現状がおおきく改善されるめどはまだ立っていないと見るべきだろう。

HRT・コスワース 1/10 (Pデラロサ4/10、Nカーティケヤン2/10)
もはや様式美となった開幕からの堂々予選落ちを今年もぶちかまし、挙げ句の果てにはチームが消えてしまうといった茶番っぷり。シーズン中から資金繰りが苦しそうなところではあったが、まさかこんなに早くフェードアウトしてしまうとは予想外であった。ベテラン、デラロサをもってしても状況はどうしようもない。こういうひたすら存在感もなく、ただ下位を走っているばかりのチームを見ると、ひところのユーロブルンやコローニといった面々を想起してしまう。最後までまったくTVに映らないチームだった。

マルッシャ・コスワース 4/10 (Tグロック4/10、Cピック3/10)
ケーターハム、HRT同様ドライバーの採点が低いが、こんなチームにいればどんな走りをしても目につくはずはないのである。なのでグロックは単純にベテラン補正での点数と考えた方がいい。最高位は両ドライバーともに12位で、実力はそこそこ拮抗しているのかもしれない。グロックが車の文句を言いながらもよく走っていたところを見ると、腕はまだグロックに軍配が上がるのかもしれないが。テクニカル面が徐々にだがしっかりし始めてきたことと、資金の心配をそれほどしなくてもいい点で、ケーターハムより将来性があるかもしれないチームである。いつまで生き残っていられるかはわからないのだが…。

« MMD静画講座 ~影の付け方いろいろ~ | トップページ | 2012年総括的な何か »

コメント

今シーズンは途中まで先が読めなくて、見ていてひじょうに面白かったですね。
ベッテルはドライバーとしてはまだ詰めの甘い部分があると思います。下位に落ちてから追い上げる時の接触など。ヘタクソじゃないんでしょうが荒いというか乱暴というか。その辺が改善されたらもっと手強いドライバーになるでしょうね。
マクラーレンがトラブル多発だったのが意外でした。03~04年のような低迷にならなければいいですけど。
フェラーリはアロンソが流石でしたね。マッサは後半良くなったのではなく、F2012が物凄く扱いやすいマシンになったというのが真相ではないかと私は思っているのですが…。
メルセデスは何というかBAR病ですね。ロズベルグ空気。来年もこれじゃあやばいです。
ロータスはグロージャンがまともに走っていれば、もっとポイントを獲得できたはず。ライコネンが凄すぎるのか…?

>ペレスは派手な速さ、小林はどちらかというと地味臭い速さで、その辺がサウバーの査定に影響したのかもしれない。
地味なら地味で、きちんとマシンを持ち帰らないといけないと私は思うんですけどね。韓国GPはかなりマイナス査定だったと思います。予選はペレスに結構勝っていて、その点は評価できると思うんですけども…。あとはスパのあれさえ無ければ…。

>STR
やはりドライバー二人を同時に入れ替えはよろしくないと思うんですけどねえ。どっちがどの程度の力量があるのか今ひとつわからない。ジェームズ・キー効果で来年は上昇するかと思います。個人的にここは要チェックです。

>ケータハム
来年はCT-01を継続使用でしたっけか。あんまり期待が持てなさそうです。

>HRT
TVに映る時はクラッシュする時でしたね。微妙に前進してる感があったので、撤退は残念です。

>マルシャ
正直採点のしようが無いと思うこのチーム。大幅な前進はあるのだろうか…。


今年はどうもありがとうございました。来年もよろしくおねがいいたします。

コメントありがとうございます~。

>フェラーリ
そういや誰だったか、「アップデートがことごとくアロンソに裏目に出て、反対にマッサがどんどん調子良くなっていった」といってましたね。一応排気系とかのアプデはしてたんですが書き忘れました(汗) …あとで改稿しておくかな。

>小林
韓国以外だと、バレンシアのが個人的には「あーやっちゃったなあ~」的な印象でしたな。

旧年中はありがとうございました。良いお年をお過ごしください。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 2012年F1グランプリ・シーズン総括:

« MMD静画講座 ~影の付け方いろいろ~ | トップページ | 2012年総括的な何か »

フォト
無料ブログはココログ

リンクリスト

  • Pixivページ
    自分の描いた絵を置いておく倉庫。当初ニコ静との並行運用だったが今はこっちがメイン (多分…)。更新頻度は高くない。同人イベントの参加情報とかも投下される。
  • Kumaryoong's Paddock
    ソビエト時代の東側諸国におけるモータースポーツ活動について書かれているたいへん誰得なブログ (褒め言葉)。この辺の史料を日本語でまとめたサイトって史上初かもしれません。
  • 作った静止画一覧
    主にMMDで作った静止画を上げています。最近はこっちの頻度のほうが高いですね。
  • Racing Sports Cars
    ル・マンや旧WEC/WSPC/SWC、さらには旧WCMなど、スポーツカー・レースの参戦車両の膨大な資料写真を有するサイト。ドライバー別・車種別検索機能完備。F1もちょびっとだけあります(70年~82年)。
  • F1-Facts
    1950年イギリスGPより、F1に関する全記録を蒐集・公開しているサイト。各年度リザルトページからマシン一覧・写真ページに飛ぶことができます。あなたの知らない名車に出会えるかも。IEは右クリックでの画像保存が出来ないので、PCに保存する際はFireFoxなどを使用してください。
  • 誰得 (boulog)
    謎多きF1マニア(?)、bou_ckさんのブログ。「Wikipediaに載ってないような脳内資料置き場」を標榜するだけあって、その名に恥じぬディープ過ぎるF1マシン解説!Wikiどころか、ネット上にもそうそう無いようなマシンが目白押し。ちなみに「誰得」とは「誰が得するんだこんなもん」的意味合いのフレーズ。 2015.12.13追記: このほどYahooブログからfc2ブログに移転されました。
  • 作ったもの一覧。
    私の動画作品一覧です。気力の低下と更新頻度の低下はすべからく連動しています。