« 2013年1月 | トップページ | 2013年3月 »

2013年2月

2013年2月28日 (木)

MMD静画メイキング: MMDとはなんだったのか

さて、ふたたびMMD×フォトショップ・静画メイキング・シリーズです。今回取り上げるのはこちらの静画。



見てわかりますがアリスの部分以外まったくMMDを使ってません。もともとこういう感じの絵は、いわゆる「デジ絵」時代の到来にともなってPixivなどでよく見られるようになったもの (だと思う) で、「裏」部分にテクスチャやブラシなどできらびやかな装飾を施してあるのが特徴です。してこれをMMDでやる必然性は全くないような気がするのですが、50万円のペンタブを持っていてこれと全く同じかそれ以上のレベルのアリスを手描きできるならともかく、ペンタブも才能も持ってないけどこういう絵は作りたいんだッ! という人にとってはMMDが大きな力になるわけです。しかしこの絵の場合、まずフォトショップが必要なこと (頑張ればGIMPでも出来る気がしますが) と、最終的にやはりペンタブがあったほうがやはりやりやすいと思うのですが…。ペンタブだけなら3000円、4000円ぐらいのものがヨドバシなんかに売ってたので、本格的に絵を描くのでなければそれぐらいのものでも十分ですが。



00

まずは背景のテクスチャを用意いたします。「紙」「布」「鉄錆」「コンクリート」といったモチーフのフリー・テクスチャがウェブ上で多数配布されているので拝借いたしましょう。紙や布ぐらいなら自分で撮影して「自家供給」することも出来ます。今回はイメージどおりの効果を得るためにテクスチャを重ねることにします。





01

最終的にこのような感じになりました。4枚重ねで、各レイヤーのセッティングはそれぞれ画像の通りです。これがいわばキャンバス部分となるのです。








02

あとの工程で一括して彩度を上げるプロセスがあるので、ここでは思い切りデサチュレートしておきます。「色相・彩度」調整レイヤーを追加して彩度をぐぐぐっと落とします。







03

MMDで背景色が白/黒の状態からPNG形式で出力すると透過部分を出力できます。エッジ部分をガンガン加工していくので、出来上がりのイメージより少し大きめにとって出力します。







04

レイヤー画面下の日章旗のようなマークをクリックしてレイヤーマスクを追加します。次にブラシツールを選択し (ショートカットキー「B」)、赤丸で示したアイコン (ブラシが並んでいるアイコンをクリック→ウィンドウ右上のメニューアイコンをクリック) してブラシプリセットの選択画面を呼び出します。デフォルトの状態ではフォトショップに同梱してあるブラシしか選択できませんが、このブラシパターンというのもウェブ上で多くのフリー素材が配布されているので、使わないという手はありません。テクスチャ同様自作可能な部分ですが、自作するのはテクスチャよりはるかに面倒です。


*テクスチャ、ブラシなどの素材は、「DeviantArt」などのサイトから「Free Photoshop Textures/Brushes」などで検索すると色々出てきます。ひと通り、基本的なパターンを揃えておくと便利でしょう。

05

まずは水彩パターンをひとつ選んで、矢印方向に向かってグラデーションがかかるような感じでエッジ部分をボカシます。ぼくはマウスクリックでこの操作を行いました。ブラシの模様そのものを使った絵作りをする場合、ペンよりはマウスのほうがやりやすいように感じます。ブラシの不透明度やパターンそのものの影響で、結果はまさに千変万化するので、この工程にこれといった特解はありません。絵画同様、作る人の考え方です。




06

Ctrl-Shift-Nで新規レイヤーを作成し、アリスレイヤーの下に持ってきます。









07

さて、ブラシパターン本領発揮です。この操作は、一般的には使用するブラシパターンの数、バリエーションが多いほど「映える」ようになりますので (無論例外はあるし、上手い人なら1~2パターンで纏めてみせることも出来るかもしれませんが)、多少面倒でもワンストロークごとにブラシパターンを変えていくのがよいでしょう。アリスの外側部分に絵の具を散らすような感じで色を「落として」行きます。アリスの服の部分ならブルー、髪の部分なら金色 (ぼくはスポイトツールを使いました)という風に、色を合わせます。



08

ここで別レイヤーを作って、さきほどブラシで色を塗ったレイヤーの上に持っていきます。パターンブラシツール (ブラシパターンでがしがしやるのと大差ないかもしれませんが、こっちはテクスチャがおまけでついてくるのです) を選択し、主に赤線で囲った部分を塗ります。矢印で示したプルダウンメニューで、テクスチャをいろいろ変更できます。この部分のテクスチャもブラシ同様、フリー素材がありますが、今回はそこまで使いませんでした。




09

さらに新規レイヤーを一枚作ります。ブラシツールに戻して鉛筆やハードブラシなどのボケ足が短い、「硬い」線を選択して、サイズを2~5ピクセル前後と細く設定します。スポイトツールで色を拾い、ランダムな感じでバックドロップ部分に線を描いていきます。この作業にペンタブを使うかマウスを使うかは自由です。ぼくはペンタブ (この間日本で買ってきたアレですね) を使いましたが、別に厳密な図形を描くわけではないのでマウスでぐちゃらっと描いてしまっても問題ないでしょう。



10

パターンブラシをふたたび選択し (本来はこの操作は先のパターンブラシ・レイヤー上で行うのがよいのですが、ここではそのまま描き足しています。自信がなかったり慣れていない場合、後から修正したい場合は操作ごとにレイヤーをまとめておくのが安全です)、パターンを選んで矢印方向に軽く描き込みます。





11

せんでもいい工程ですが、気分的にやってしまいました。ハードブラシでサインを入れています。「絵」の感じを出したかったのでしょうか。








12

アリスレイヤーの上に白黒調整レイヤーを追加し、下のレイヤーにクリッピング (白黒レイヤーを右クリック→「クリッピングマスクを作成」) します。この操作を行うことで、直下にあるアリスレイヤーにだけ白黒の調整効果が適用されるのです。






13

白黒レイヤーの不透明度を落とし、調整ウィンドウから強くしたい色を調整しますと、このように色調の抑えられた、落ち着いたトーンになります。今回、アリスの服装のワンポイントとして「赤」が際立っているので、「レッド系」スライダを右側 (プラス方向) に振りますと、その色が際立つようになります。反対にスライダを左側に振ると、その色がよりいっそう落とされた感じで表示されるようになります。




14

最後にトーンカーブレイヤーを一番上に追加しまして、全体の色調を調整します。ここではRGB (全体) の他に赤、緑、青チャンネルを独立して調整していますが、もちろんRGBチャンネルのみで調整をおこなってもよいのです。







Alice06E1

最終的に出力されたものがこちらになります。BowlRollアップローダーに今回使用したPSDファイルを参考用にアップロードしておきます (http://bowlroll.net/up/dl14942) ので、そちらも参照するとよりいっそう理解が深まることと思います。

2013年2月23日 (土)

F1シートの価値

去年の末に小林可夢偉が公式に「今年のF1活動を断念する」ステートメントを出した時、多くの日本人F1ファンが驚いたことと思う。小林は去年の日本グランプリで表彰台に上がる活躍をし、それ以外にも何度もポイント圏内でのフィニッシュを果たして、いわば「チームがカネを払うに足る値打ちの」ドライバーと (少なくとも日本のファンには) 思われていたからである。たしかにいくつかくだらないミスはおかしたが、それでも彼の実力や闘志には疑問をさしはさむ余地がないと考える者は多く、それだけに「なぜ彼ほどのドライバーがシートを得られないのか」という疑問が怒りとともに各所で散見された。しかしぼくはあまりショックではなかった。ただ当然の帰結になったと思っただけだった。

日本グランプリの後になって、彼が「このままF1で走り続けるにはお金が必要だ」といった時、ぼくは特に何とも思わなかった。こんにちのF1ではドライバーがチームにスポンサーを持ち込むのは常識であり、ごく限られたトップ・チームのドライバーを除くと、ほとんどのドライバーはチームになにがしかの金銭的利益をもたらしていたからだ。小林は2010年にサウバーに入ってからまだ個人スポンサーと呼べるものを一度も持ち込んでおらず、ある意味ではF1界で貴重なドライバーになりつつあった。サウバーはプライベート・チームだから、もともとスポンサーは多いに越したことはないのである。しかしその後の彼の言動にはおどろかされた。彼は「F1で走るのに金が必要だと考えたことはなかった」と言ったのだ。ぼくは、この言葉をきいた時点で彼の2013年のシートの可能性をほぼ見限った。そんな認識でF1に乗れると思っていること自体、おどろくべきことだ。

オンラインでの議論を見ると、「ドライバーはチームに給料を貰って然るべきなのに、なぜあべこべにチームにカネを払わなければいけないのか」と考える人が多かった。確かに、日本人のよく知っている野球やサッカーなどのスポーツでは、選手個人がチームに対して試合でプレーする以外の見返りをもたらすということはほとんどない。モータースポーツが単なるスポーツと同列には語れない理由のひとつはこの辺にあるのだが、日本人の感覚からすればこれは理解し難い、理不尽な現象と映るのだろう。これは育ってきた環境のちがいだから仕方がない。

しかし、だからといってドライバーまで同じ認識では困るのである。たとえば去年のF1のグリッドをみてみると、ほんとうに一銭もチームに持ち込んでいないのは小林以外にはレッドブル、マクラーレン、フェラーリ、メルセデスのふたり、ロータスのライコネン、ケーターハムのコバライネン、マルッシャのグロックぐらいのものだった (フェラーリだってサンタンデール銀行はいわばアロンソ・コネクションでくっついてきたようなものといえる)。そしてこのドライバーのうち、レッドブル・マクラーレン・ロータス・メルセデス以外のドライバーはすべて今年のシートをうしない、スポンサーを持つ若いドライバーにその座を奪われているのである。

小林がデビューしたのは2009年のトヨタであった。この時点でトヨタはF1に残っていた数少ない巨大メーカー・ワークスだった。ある意味では、小林はこのメーカー・ワークス的な考え方から脱却できなかったともいえる。F1に巨大メーカーが大挙して押し寄せるようになったのは2000年代のはじめごろだが、その頃はどのメーカーもF1で勝つことを至上命題として、惜しげも無く目玉が飛び出るような額の投資をチーム、ドライバーにつぎこんだ。ドライバーはゼロがいくつも並んだ小切手をポケットに突っ込んで、他のことはまったく考えずにただ走っていればよかったのである。もちろん、そんな小切手は逆立ちしても切れないというようなちいさなプライベート・チームはどんどん苦境に立たされていった。2005年にジョーダンとミナルディがあいついで立ち消えたのはいい例だろう。ミナルディはレッドブル・グループに買収されて若手ドライバーの保育所と成り果て、ジョーダンはその後ミッドランド、フォース・インディアと変わるにつれて、こんにちの「ペイドライバー・チーム」のはしりのようになっていった。小林がF1を夢見て下位カテゴリーで走っていたのがちょうどこのへんの時期にあたる。しかしその後世界景気が壊滅的にわるくなり、メーカーはF1どころの話ではなくなった。ぼくとしては2009年末にトヨタが撤退した時点で、F1における「メーカーの時代」は終ったと考えているのだが、小林にとってはまだ終っていなかったということなのだろう。

今回の小林の一件は、日本におけるF1の認知度の低さとか、果たしてペイドライバーはF1に必要な存在なのか、経験も実力もなくスポンサーの力だけでF1に上がってきたような若造が充斥するいまのグランプリ・シーンははたしてF1のあるべき姿なのか、といった問題を提起しているが、ぼくにとっては、F1におけるひとつの時代が終って、グランプリがまた (良くも悪くも) 元の姿に戻っただけではないかと思っている。F1は、その歴史の大半をメーカー・ワークス不在のまま過ごしてきたからだ。70年代のF1では、参戦していた中でまともなメーカーはフェラーリとフォードぐらいのもので、その中で巨大メーカーともなるとフォードだけだった。ターボ時代になるとまずルノーやBMW、ついでホンダが台頭し、ブライアン・ハートなどの有能なプライベーターが資金の問題でフェードアウトしていくようになる。この流れはその後のNA時代に続くが、ホンダがいなくなりセナが帰らぬ人となると、残ったワークスの中でまともなメーカーはルノーとフェラーリ (後にメルセデスが加わる) しかいなくなった。しばらくすると自動車メーカーが先を争ってグランプリに参加するようになり、かかる資金が天井知らずになっていったのだが、それもけっきょくは一時的な現象にすぎなかった、ということである。

しかしそれですべて収まったかといえばそうでもない。頭の痛い問題だが、実力のあるドライバーというのは往々にしてプライドが高いので、コバライネンのように「チームのためにスポンサーを探すつもりはない」と公にいいきってしまったりするのである。そうなると、特にケーターハムのようなちいさなチームでは、実力はあっても一銭も持ってこないドライバーには用はない、とばかりに解雇となる (本人も自覚はしていただろうが)。グロックも、チーム側は当初否定していたが後に金銭的な理由によって解雇に至ったことが代表の口から明らかになった。現在F1にいるペイドライバーのおおくが、まだF1に乗るだけの実力が不足していると見られているドライバーであることも、ファンの不満に油を注いでいるだろう。現在のところ、資金やスポンサーを持ち込んでいるドライバーで比較的速いのはセルジオ・ペレスかパストール・マルドナド (純粋な速さという意味ではロマン・グロージャンもそうかもしれないが、彼はなにしろそのドライビングスタイルに問題がありすぎた。今年はどうなるか見ものである) ぐらいのものだろう。他はみんなまだ若すぎて評価を下せないか、単に遅いだけかのどちらかである。すこし穿った見方をすれば、GP2などの下位カテゴリにあまり見るべき才能が出てきておらず、欧州フォーミュラー・レース全体が地盤沈下を起こしている、ともいえる。

小林はまだ今年の計画について発表をしていないが、F1では一年でもブランクを作ってしまうとその後の復帰は難しくなる。彼はそれを知ってかどうか。F1で走るのに金がいることすら知らなかったぐらいだからそれも知っているかどうか疑わしいが、一年間ゆっくり進退を考えるだけの時間は出来たのだから、起死回生を狙って営業努力を続けるか、「ケーターハムでは走りたくない」とまでいわしめたプライドを優先してひと思いに引退するか (本人はF1以外の進路は考えていないようだが、それは無駄なプライドだと思う)、いずれにしても本人が正しい決断をくだすことを願うだけである。ぼくの耳には、いまだに晩秋の鈴鹿の抜けるような夕空に吸い込まれていった「可夢偉コール」がなつかしく響いている。

« 2013年1月 | トップページ | 2013年3月 »

フォト
無料ブログはココログ

リンクリスト

  • Pixivページ
    自分の描いた絵を置いておく倉庫。当初ニコ静との並行運用だったが今はこっちがメイン (多分…)。更新頻度は高くない。同人イベントの参加情報とかも投下される。
  • Kumaryoong's Paddock
    ソビエト時代の東側諸国におけるモータースポーツ活動について書かれているたいへん誰得なブログ (褒め言葉)。この辺の史料を日本語でまとめたサイトって史上初かもしれません。
  • 作った静止画一覧
    主にMMDで作った静止画を上げています。最近はこっちの頻度のほうが高いですね。
  • Racing Sports Cars
    ル・マンや旧WEC/WSPC/SWC、さらには旧WCMなど、スポーツカー・レースの参戦車両の膨大な資料写真を有するサイト。ドライバー別・車種別検索機能完備。F1もちょびっとだけあります(70年~82年)。
  • F1-Facts
    1950年イギリスGPより、F1に関する全記録を蒐集・公開しているサイト。各年度リザルトページからマシン一覧・写真ページに飛ぶことができます。あなたの知らない名車に出会えるかも。IEは右クリックでの画像保存が出来ないので、PCに保存する際はFireFoxなどを使用してください。
  • 誰得 (boulog)
    謎多きF1マニア(?)、bou_ckさんのブログ。「Wikipediaに載ってないような脳内資料置き場」を標榜するだけあって、その名に恥じぬディープ過ぎるF1マシン解説!Wikiどころか、ネット上にもそうそう無いようなマシンが目白押し。ちなみに「誰得」とは「誰が得するんだこんなもん」的意味合いのフレーズ。 2015.12.13追記: このほどYahooブログからfc2ブログに移転されました。
  • 作ったもの一覧。
    私の動画作品一覧です。気力の低下と更新頻度の低下はすべからく連動しています。