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2014年5月

2014年5月31日 (土)

2014年F1・途中採点表

当初から混戦が予想されていた2014年のF1グランプリも、五月の終りまでに第六戦モナコグランプリをつつがなく消化した。当初の下馬評通りルノー・エンジンを搭載するチームが軒並み苦戦するなか、メルセデスGPのふたりがこれまで六戦全勝 (ハミルトン四勝、ロスベルグ二勝) というすさまじい快進撃を続けており、もうしばらくは止まりそうにない。エンジン規則が大きく変更されたこの年、エンジン単体のパフォーマンスではやはりメルセデスが頭ひとつ抜きん出ており、それにフェラーリとルノーが追いすがっているのが大勢だ。本来F1というのはエンジンだけ、あるいは車体だけで競争するものではないのだが、今年はとくに複雑化したエンジンの占める比重が大きく、それだけにすこしの不利が何倍にも輻輳されてチームにのしかかってくるのであろう。各チームとも、いまだメルセデスの優位性をおびやかすに足る解決策を用意できてはいない。この流れは後半戦に入っても大きくは変わらないのではなかろうか。シーズン前の予定通り、モナコグランプリ終了時点での各チームのパフォーマンスの10点満点による採点と、それに関する私的な見解を以下に記す。ここに掲載するのはあくまで個人の意見であり、また事実と相異なる記述が数箇所か見受けられるやも知れないが、その点はご容赦願いたい。今年からカーナンバーが1からの順番ではなくなったが、ここでは前年度コンストラクター選手権順にチームを記し、その下に其々のファースト/セカンドドライバーを記すこととする。

レッドブル・レーシング・ルノー 5/10 (Sベッテル 4/10、Dリカルド 6/10)
前年まで観客をうんざりさせるほど強かった常勝チームとはとても同じに見えないほど憔悴しきっている。ベッテルなど、このチームに来てから勝つことしか経験してこなかったため、「10の努力が10の成果で報われる」ことになっていない現状にはたいそう不満であろう。実際、どのグランプリでも彼は多かれ少なかれいらだっているように見え、その感情が空回りしてさらにわるい結果を呼びこむ悪循環を形成しているとすら思えてくる。いまごろになって前年のウェバーの気持がわかりすぎるほどわかっているに違いない。リカルドは開幕戦でさっそく「幻の表彰台」に登りミソがついたが、その後のパフォーマンスは立派なものであり、予選でもベッテルにまったく引けをとっていない。いい車に乗ることができれば、いずれはチャンピオンも夢では無さそうな男である。開発ペースは遅くないので、ここから一念発起すれば後半戦の終りまでにはメルセデスと対等に渡り合えるようにはなるかも知れないが、チャンピオン争いの流れをたぐり寄せるには少々、遅きに失してしまった感がある。

メルセデスGP 9/10 (Lハミルトン 7/10、Nロスベルグ 8/10)
目下のところ、スペイン無敵艦隊か2011年のレッドブルもかくやと思われるほどの連勝につぐ連勝、この六レースでポールポジション・優勝者ともメルセデスでなかったレースがないというすさまじさである。ハミルトンはなんだか黒人ギャングのようなルックスになってしまったが予選の速さは健在で、レースでもエンジントラブルでリタイヤした開幕戦オーストラリアグランプリ以外、五つのレースのうち四つで僚友ロスベルグを突き放し、目下チャンピオンシップ・ポイントで一歩先んじている。個人的に今年の彼はいつもに輪をかけて感情のコントロールがうまく行っておらず、一見おとなしそうなロスベルグとの共存共栄がやや不安ではある。そのロスベルグは先日のモナコグランプリで78ラップの間一周たりとも他者に渡さない完璧なレースをしてみせ、ハミルトンに傾きかけた天秤を引き戻すことに成功した。2014年のワールド・チャンピオンは、もはやこのふたりのどちらかを置いてほかにないであろう。

フェラーリ 6/10 (Fアロンソ 8/10、Kライコネン 7/10)
ジェームス・アリソンはこのふたりのドライバーについて、以前つぎのように語ったことがある。
「フェルナンドもキミも、車を運転した後のフィードバックは大同小異だ。つまりキミも、フェルナンドが感じたことと同じことを感じ取れているということになる。決してキミが車の基本的な性格に苦労しているわけではないと思う」
うがった見方というか、いわば「裏の裏」まで読んでしまえば、このコメントはある意味ライコネンに対する擁護であり、それをわざわざ発したということで彼の不調をことさら強調してしまっているとも取れる。勿論コメントした本人はそんなことは考えておらず、単に事実を述べたまで、という可能性も充分あるだろう。ライコネンは電子制御式のブレーキのフィーリングにいまだ慣熟できていないとか、いろいろな説が飛び交っているが、もともとライコネンはずいぶん天気屋なところがあって、彼自身のモチベーションに合わせて調子がかなり変動する節がある。いまのところは静観するほかなし、といった印象だ。アロンソは去年に引き続き、走らない老駑馬に鞭打って麒麟の背中を追い回す芸当をやっている (やらされている?)。彼の超人的な努力は観る者のひとしく認めるところだが、所詮は個人の奮闘によるものであり、それだけでチームの責任が消えてなくなるというわけではない。ロス・ブラウンなき後のチームをここまで引っ張ってきたステファノ・ドメニカリがこのほど更迭されたが、イタリアチーム特有の内紛によるものという見方がつよく、責任者が変わったからといってすぐに何が起きるということは考えにくい。

ロータス・ルノー 4/10 (Rグロージャン 6/10、Pマルドナド 4/10)
こちらも開幕前テストでさんざん苦しんでいたチームである。レッドブル同様「原因の大半はルノーのエンジンにある」と声を高らかに叫びたいところだろうが、ロータスについていえば半分ぐらいは車のせいだろう。二股にわかれたタイプのノーズコーンはたしかに目は引くが、これでは二股の「股」の部分で空気が渦を巻いてしまって、上にも下にも流れていかないんじゃないかと思えてくるデザインである。グロージャンはそんな状況の中でも腐らずに戦い、スペイングランプリでは待望の今季初ポイントを獲得した。12年のデビュー以来、なんとなく彼の成長を感じ取れて微笑ましくもある。それに比して、ウィリアムズから移籍してきたマルドナドはまったくお粗末なドライビングとしか言いようがなく、ベネズエラのスポンサーが付いていようがいまいがこのままでは数年のうちにいなくなってしまうであろうとも思える。車が走らず鬱屈がたまっているのかもわからないが、そういう難しい時であるからこそ隠忍自重、すこしは車を原型をとどめたまま持ち帰ることに専念していただきたい。

マクラーレン・メルセデス 5/10 (Jバトン 6/10、Kマグヌッセン 5/10)
無敵を誇るメルセデスエンジン勢のなかでは最も進歩が見られないチーム。開幕戦でマグヌッセンが三位 (のち二位) に入って、2013年からの表彰台難は途絶えたが、その後は両ドライバーともいまひとつ精彩を欠き、特に見るべきところがないという惨状である。今年はメインスポンサー無しのままのレースが続き、財政的にも苦しい戦いを強いられそうである。日本人としては来年からのマクラーレン・ホンダ体制が気にかかるところだろうが、あのスピリット・ホンダから常勝ウィリアムズ・ホンダまでも三年近くかかったのだから、どうか拙速に結果を求めるような感情は抱かないでほしい… と言いたいところではあるものの、現在のマクラーレンの状況でははっきり言って不安は非常に大きい。前年の例を鑑みるに、後半に向けての開発もあまり期待できなそうである。

フォースインディア・メルセデス 7/10 (Nヒュルケンバーグ 7/10、Sペレス 6/10)
いわゆる完全なプライベート・チームとしてはもっとも健闘している。運営母体であったサハラが諸事情で降りてしまったことがチームの体力に少なからざる影響を及ぼすと思われるが、いまのところその徴候は出ておらず、両ドライバーともそれなりの存在感を放ってはいる状態だ。現在のところライバルは同じメルセデスエンジンを積むプライベーターであるウィリアムズ辺りか。ウィリアムズ同様、「運が良ければ今年中に一回ぐらいはトップ・グループの車の上に来れるか」といった程度だろう。大事なのはその運を逃さずつかむだけの能力で、この辺にチームの基礎体力の違いが出てくるのである。後半戦にかけてこのペースを何が何でも維持したい。

サウバー・フェラーリ 3/10 (Aスーティル 4/10、Eグティエレス 6/10)
車のせいでもっとも苦労しているのはおそらくここである。先日のモナコグランプリでマルッシャがポイントを獲得したことで、コンストラクターズ・ランキングでマルッシャをも下回る事態になってしまった。車重が最低ラインをかなり上回っている状態で、これは一キロでも軽くしたいF1カーにとって致命的なのは言うまでもない。期待されたスーティルはここまで悉くその期待を裏切ってきたが、モナコグランプリですこしはレースの仕方を思い出したように見えたので今後に向けての奮起をうながしたい。グティエレスは不調のベテランチームメイトを尻目に速さで上回るというリカルドに似た境遇だが、まだ若いせいかいまひとつツメが甘い、ケアレスミスが目立つ気がするので、その辺りを重点的に改善するべきか。現代のF1カーというのは各部のクリアランスや重量計算などがかなりギリギリに設計してあって、シーズン中に同じ車を大幅な軽量化をするのは並大抵の仕事ではない。そのうえサウバーというのは伝統的に開幕数戦に強くその後ゆるやかに失速しがちなので、もしかしたら今年はもうずっとこのままかもしれない。まだデビュー間もないグティエレスが気の毒である。

トロロッソ・ルノー 6/10 (Jベルニュ 5/10、Dクヴィアト 7/10)
レッドブルが掘り出してきた19歳のクヴィアトが思わぬ大型新人で、それがためにチーム全体が注目を集めている。元サウバーのジェームス・キーが本格的にタッチした車とあって、開幕時点ではルノーエンジン勢のなかではもっとも信頼性が安定していると思われたが、それでもなかなかエンジンの素性というのは一筋縄では行かぬようで、けっきょくコンストラクターズ・ポイント順ではしっかり下位に埋もれている。クヴィアトはただ速いだけでなく、新人らしからぬ落ち着き、冷静さを備えており、上手く行けば表彰台上ではじめてロシア国歌を流した男という栄誉に浴する権利は彼のものになるだろう。

ウィリアムズ・メルセデス 7/10 (Fマッサ 6/10、Vボッタス 7/10)
こちらも開幕前の論調は圧倒的有利とするものが多かったが、いざ蓋を開けてみるとやはりというかしかしというか常勝軍足りえず、それどころか不運の数々があったにせよいまだ中団グループから抜け出せていない。ベテランのはずのマッサはなにかとボッタスにお株を奪われがちで、このままではせっかくウィリアムズに加入した意義がなくなってしまいかねない。全体的に、「けっきょく収まるべき位置に収まった (収まってしまった)」という印象しか出てこない、といったら失礼だろうか?

マルッシャ・フェラーリ 6/10 (Jビアンキ 7/10、Mチルトン 6/10)
HRTが撤退してしまい、底辺御三家のうち二チームしか残っていないが、その中で先にポイントを取ったのはこのチームであった。登場以来常に資金的な安定性や将来性の面でわるく言われ続けてきたマルッシャだが、これでチームスタッフの長年の努力も多少なりとも報われたに違いない。こうなるとチルトンはなかなかのプレッシャーではないだろうか。しかし依然として絶対的なパフォーマンスではサウバーにすら遠く及ばず、今季も主にケーターハム相手の孤独なレースに終始するであろうことは容易に想像できる。将来性って何なのか、おもわず考えさせられるチームである。

ケーターハム・ルノー 2/10 (小林可夢偉 6/10、Mエリクソン 4/10)
こちらは完全にダメなほうのチームである。まるでHRTの撤退にあわせて、かのチームの亡霊が乗り移ったかのような情けなさだ。まず車だが、これがまったく速く走ることなど考えていないようなふざけたデザインである。すでにオーナーのフェルナンデスの興味はプレミアリーグ・サッカーにすっかり移ってしまっているが、このチームの様相を見せられればサッカーに逃げたくもなるだろう。チームの名誉のためにひとつ付け加えるとすれば、モナコグランプリでは両者均等にポイント獲得のチャンスがあり、それを分けたのはただ運のなせる業であったということである。しかしこのチームに、果たして「次のチャンス」をつかむだけの力が残っているだろうか?

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