« 風は東へ ~JRMレーシング・HPD ARX-03a (2012)~ | トップページ | トヨタC-Vシリーズ・終りのクロニクル 「輝ける闇」 »

2016年4月 1日 (金)

ブラック・ビューティー ~渋谷 凛・ニュージェネレーションVer.~

「アイドルマスター シンデレラガールズ」 (以下単に「シンデレラガールズ」) は、二〇〇五年にアーケード・ゲームとして登場し、その後二〇〇〇年代後期~二〇一〇年代の日本を代表する美少女ゲーム・コンテンツにまで成長した「アイドルマスター」シリーズのスピンオフ作品のひとつとして、二〇一一年十一月末に基本無料制モバイルゲームとして配信が開始された作品である。スタート当初は課金制ソーシャル・ゲームという、それまでのアイドルマスター・シリーズになかったスタイルに戸惑うファンが多かったが、初期状態で百人を超える登場アイドルのバリエーションの豊富さやキャラクターの強烈さなどが受容され、シリーズを構成するメイン・コンテンツとしての地位を確立していった。初期にはキャラクターに固有のボイスなどはなく、台詞はゲーム画面に表示される文字列のみで構成されていたが、のちに一部キャラクターに声優が声を当てることが発表され、二〇一二年四月にはアイドルマスターに欠かせない、キャラクター・ソングを収録したシングルCDが発売された。この音楽CDは「CINDERELLA MASTER」シリーズとして、二〇一六年三月現在四十五人のアイドル (=四十五枚のCD) がフィーチャーされてきたが、このシリーズの栄えある第一弾 (一回のリリースで五人分のCDが発売される)・ナンバー001を担当したのが、渋谷凛であった。   
   
「シンデレラガールズ」内では、百数十人の在籍アイドルのすべてに誕生日・血液型・利き手などのプロフィールが用意されているが、これによると渋谷凛は八月十日東京生まれの十五歳である。配信開始当初から登場していたアイドルのひとりで、ゲームの最序盤でプロデュース属性をキュート/クール/パッションから選択する際「クール」を選ぶと、初期メンバーとして設定される。ゲームのキャラクター原案を担当した「杏仁豆腐」氏が最初にデザインを描いたのがほかならぬ渋谷凛であったことからか、二〇一二年一月に放送されたゲームのテレビCFではいちはやくボイスが付いた状態でオンエアされた。キャストは当初公表されていなかったが、のちのCD化にあたって福原綾香氏であることが明かされている。ゲームの性格上「シンデレラガールズ」には明確な主人公、主役などは設定されていないが、渋谷凛の対外的な立ち位置はキュート属性初期メンバーである島村卯月、パッション属性初期メンバーである本田未央とともにこのゲームの事実上のメイン・キャラクターという扱いであり、この三人がゲーム配信開始当初から今日に至るまで、「シンデレラガールズ」のいわば三本の柱として活動している。      

 

28グッドスマイル・カンパニー製1/8スケールモデル「渋谷凛・ニュージェネレーションVer」である。発売は二〇一四年。実際に「シンデレラガールズ」内で、キャラクター・ボイス実装記念に追加されたカードイラストを再現したもので、同じ「ニュージェネレーションVer.」として前述の島村卯月、本田未央の各アイドルも同スケールでモデル化されている。モデル単体でも高さが約20センチとかなり大きく、手持ちの小型撮影ブースにギリギリ入る程度であった。サイズが大きいだけあって、細部までよく再現されている。   
   
   
Refこちらが二〇一二年にゲーム内で登場した「ニュージェネレーション」のカードイラスト。モデルはこの仕様を再現したものである。完全に余談になるが、現在の英国ツーリングカー選手権 (BTCC) で使用されているスーパー2000規定をベースにした独自の車輌規則、およびこの規則にしたがって作られたBTCCカーの名称が「ニュージェネレーション・ツーリングカーズ (New Generation Touring Cars/NGTC) である。   
   
   
01とにかく巨大である。箱のサイズは1/18スケールの精密模型に匹敵する。比較用に脇に置いてあるのがスパーク製1/18モデルの箱だと言えば、おおよそのサイズ感が掴めるだろう。写真では少々わかりづらいが、底面以外の外箱全体にラメ様の表面処理が施されている。   
   
05ブリスター・パックの様子。頭部前面のパックが平面にされており、外箱越しに見ても歪みなどが発生しないよう配慮されている。モデル本体、台座、マイクスタンド/マイク、マイク用コードがそれぞれ別パーツで封入されており、購入者がある程度の組み立てを行う必要がある。モデルカーではあまり見られない方式である。   
   
   
06台座にはモデルの右足を固定するための突起があり、これをモデルの靴底にあるダボ穴にはめ込んで固定する。サイズ比較用に一般的な1/43スケールモデルを配した。メインのダボ穴に対応する突起は金属製のインサートで出来ており、強度を確保している。このほか向かって左奥にマイク用コードの先端をはめ込んで固定する小穴が開いているが、写真では写り具合の関係で見えづらい。   
   
07モデルのみを台座に固定したところ。左足はフリーフローティングであり、全体の荷重が右足一本で支えられる設計である。元がイラストであり立体化にあたっては少なからぬ苦労が伴ったと想像できるが、最小限のアレンジで原作イラストをよく表現している。肌の色に少々赤味が足りないのが若干気になる所だが、イラスト通りステージ上で白っぽいライトを当てられている状態を再現しているのかもしれない。   
   
もともと「シンデレラガールズ」はゲームの性格上大筋にあたるストーリーは無く、個々のアイドルの日常場面や芸能活動のひとコマを切り取ったシーンが各カードに与えられてあるのみであった。本家「アイドルマスター」に遅れること約三年、二〇一四年一月に「シンデレラガールズ」のTVアニメ化が発表され、二〇一五年一月から十月に放映された (一月から四月までの第一期、七月から十月までの第二期)。このアニメ版でも島村卯月、渋谷凛、本田未央の三人が主役級で出演し、渋谷凛は主人公である島村卯月、同期の本田未央とともに三人組ユニット「ニュージェネレーション」として、またシーズン後半では新規ユニット「トライアド・プリムス」として活動するようすが描かれた。アニメ内で登場した「トライアド・プリムス」参加時の渋谷凛は、このモデルの仕様そのままの衣装でパフォーマンスを行っている。   
   
アニメでの渋谷凛は、劇中の「346 (みしろ) プロダクション」に所属するプロデューサー (シリーズの伝統にのっとり、特に名前は設定されていない) が立ち上げた育成プログラムである「シンデレラ・プロジェクト」の一員として、三人分の欠員枠を補充するひとりとして加入した。ほかの二人である島村卯月と本田未央はそれぞれ養成所からのステップアップ、オーディションによる選抜であったのに対し、渋谷凛はプロデューサーに街頭でスカウトされてプロジェクトに加入したため、最初は芸能活動にあまり積極的ではなかった。三人は第二話での宣材写真撮影を経て、第三話では早くも城ヶ崎美嘉のステージでのバックダンサーとして実戦の舞台に出ることとなる。この出演は城ヶ崎美嘉本人の意向によるものであったが、新人としては異例の大舞台であったことには違いない。ステージそのものは成功裡に幕を閉じ、さらに三人はプロジェクト内のもう一組のユニットである「LOVE LAIKA」とともに、いち早くCDデビューを果たした。「ニュージェネレーションズ (原作ゲームと違い複数形になっている)」のユニット名はこの段階で付けられたが、プロデューサーがいくつか持っていた仮案の中のひとつをそのままとったものである。CD発売にあわせて行われたミニライブのステージで、考え方の違いからプロデューサーと本田未央が対立し、ユニットは瓦解の危機に瀕したが、このときはほかの二人があいだに立って仲裁役をつとめ、最終的に事なきを得ている。第十三話ではシンデレラ・プロジェクトのメンバー十四人・八ユニット全員で出演 (序盤のみ体調不良から新田美波が欠場) した「346プロ・サマーアイドルフェス」の舞台にニュージェネレーションズとして登場し、パフォーマンスを行った。   
   
第十四話で、北米の関連会社から帰国しアイドル部門の統括役におさまった346プロダクションの美城常務 (下の名前は明らかになっていない) が「進行中の全プロジェクトを白紙に戻し、みずから選出したアイドルでユニットを組みこれを重点的にプロモートする」という決定を、強権を発動させて押し通した。常務の考え方に反発するプロデューサーはこれに対抗すべく、同様に苦しい立場に置かれた他部署と連携をとりつつさまざまな新企画を打ち出し、みずからのやり方を通すべく奔走することとなる。プロデューサーのアイディアの核は、冬に予定されている「シンデレラの舞踏会」と銘打たれた大型ライブステージの企画であった。そのさなか、第二十話で美城常務は始動間近の直属プロジェクトである「プロジェクト・クローネ」のメンバーに、シンデレラ・プロジェクトから渋谷凛とアナスタシアを引き抜くことを画策し、同時にシンデレラ・プロジェクトの戦績しだいでプロジェクトそのものを解散させることを通達した。アナスタシアはプロジェクト・クローネの一員としてソロ活動を開始することを決め、これとは別に本田未央、新田美波もそれぞれシンデレラ・プロジェクトと平行して独立したソロ活動を開始することを発表したことから、シンデレラ・プロジェクトは急速に分散していった。   
   
渋谷凛はいろいろ考えた結果、最終的にプロジェクト・クローネの一員として、新ユニット「トライアド・プリムス」に加入し、そのメンバーとして秋フェスのステージに上ることを決断する。この三人は原作ゲーム内でも三人ユニットとして同系列の衣装カードが登場しており、二〇一三年にユニット名がつけられる以前は俗称として主に「りんなおかれん (凛・奈緒・加蓮)」と呼ばれていた。ニュージェネレーションズがプロデューサーの判断で出場を見送った秋フェスで、トライアド・プリムスの三人はライブのトップバッターである鷺沢文香の不調により出場順が大幅に繰り上がるというトラブルを経験しながらもステージを成功させている。第二十三~二十四話ではニュージェネレーションズの島村卯月が一時的に不調に陥り、ユニットがふたたび崩壊の危機を迎えたが、このとき渋谷凛は「古巣」であるニュージェネレーションズの危機に取り乱しながらも本田未央やプロデューサーとともに島村卯月の説得にあたり、第二十四話終盤で描かれたユニット単体のクリスマスライブでの島村卯月の復帰をサポートした。最終話である第二十五話ではシンデレラ・プロジェクトの一員として、ふたたび全員で「シンデレラの舞踏会」のステージに立つ姿を見せている。   
   
   
09マイクスタンドを組み立て、装着するとこのような状態になる。マイクやスタンドは握った形状の手先パーツにうまくはめ込む形式だが、特に問題なく組み立てられる。マイク用のコードは少々トリッキーで、マイク尾部への差し込みがやや甘いことと、台座に開いた穴のサイズが合わず、コード先端をはめ込むのに難儀した。コードそのものは硬質のワイヤーに近い材質で、台座側の先端部のみゴムと思われる軟質の素材でできている。この状態ではマイクスタンドの基部も接地せず、フリーフロート状態となる。   
   
   
14モデル背面。スカートのフリルは原作イラスト同様、上から黒・半透明・黒・半透明の素材を重ねあわせて表現している。コード尾部を台座に取り付けているようすがわかる。写真ではコントラストの関係でやや見えづらいが、左足の膝裏の表現がひじょうに繊細で真に迫っており、このモデルの見どころのひとつとなっている。はげしい動きの最中を意識したポージングで、長い髪が舞う表現が付加されている。   
   
   
15膝裏のクロースアップ。伸びている状態の腱の再現には息を呑むばかりである。ブーツの光沢も実物に限りなく近い。   
   
   
17おどろくべきことに、ブーツの紐には軟質素材の別パーツが奢られている。ベルトや金具、シワの表現に注目されたい。神は細部に宿っている。   
   
19髪が長い関係で角度が制約されるが、肩から背中にかけての表現も老舗のグッドスマイル・カンパニーらしく、じつに自然に造形されている。衣装のデザインの関係で肩が露出しているが、華奢な体格から骨格がすこし浮き出て見えるこの絶妙なバランスをみごとにものにしていると言える。胴体部分にコルセットのような衣装がつけられているが、この部分とほかの布地の部分で光沢の具合が異なり、前者がつやあり、後者が半つやで表現されており、質感の違いに説得力をもたせている。   
   
   
16手首部分とマイクパーツ。黒い手袋をはめ、手首には同色のリボンが巻かれている。マイクスタンドはT字型部材/基部の2パーツで構成され、高度な造形を可能としている。表面の光沢から推測すると、この手袋は布製であろう。   
   
   
29顔の表情もしっかり決まっており、元のイラストからうまくアレンジして二次元を三次元に投影している。瞳の色はやや青の強いエメラルドグリーンといったところ。どの角度からイラストと見比べても違和感のないよう、特に頭部の造形は徹底的に攻められている。   
   

 

26激しい動きに合わせて大きく散らばっている長髪や棚引く長いリボン、髪飾りの部分など、どれをとってもひじょうに繊細な造り込みである。モデルカー・メーカーで言えばルックスマートかBBRといったレベルになるだろうか、とにかく全体を見渡してみて造形面での妥協がどこにも見当たらないのがすさまじい。   
   
   
18ゲーム内の公式プロフィールによると、渋谷凛は身長165センチ・体重44キロ、スリーサイズは80-56-81とされている。とりたててグラマラスというほどではないが、あえて個人的な感想を述べるなら「必要にして十分」といったところだろう。肩~鎖骨~胸/二の腕へ至る微妙な曲線の解釈が上手い。   
   
   
21さほど過激ではないものの、適度に抑揚のついているこのシルエットがとても良い。   
   
   
22

極上。   

   
24

絶景である。   

   
20神域!!   
   
   
Xディフューザー下面の造形はひじょうに手の込んだもので、この部分でのダウンフォースの発生量や空力中心の位置を最適化しようとする努力の跡がうかがえる。その甲斐あって、基本的には見えない部分であるものの、それ単体がひとつの芸術品であるかのような趣がある。空力特性的にも満足の行く仕上がりであっただろう。背中側の肩甲骨の表現にも注目されたい。   
   
   
25カードイラストに合わせたアングルで撮影したもの。マイクのコードや乱れた髪により、モデルでありながら全体に躍動感がみなぎっている。「渋谷凛」というキャラクター名がどの段階で出てきたのかは定かではないが、まさにこの佇まいにしてこの名ありというべき、きわめてよく似合う名前だと感じられる。   
   
原作ゲームでの渋谷凛が与える印象について、「リスアニ」誌二〇一五年十二月号では「渋谷を歩いていそうな凛とした、でも何かつまらなそうな女の子」と評している。ゲーム、アニメともあまり愛想のなさそうな素っ気ない台詞の多い彼女だったが、年齢相応の情熱もしっかり有しており、戸惑うことの多かったアイドル活動にも全力で打ち込み、おおむね努力に見合うだけの成果は上げたということができるだろう。クール属性の看板役だけあって、十五歳にしては外見、表情とも大人びているという印象で見られることが多いが、一方で原作の端々ではいわゆる「中二病」的な大仰な台詞を発するシーンもいくつか用意されており、彼女の持つもうひとつのチャーム・ポイントとなっている。   
   
27「アイドルマスター シンデレラガールズ」は二〇一五年末に四周年を迎えたが、そのすべての期間において、渋谷凛は作品の中核を担う人物のひとりでありつづけた。ボイス実装やCDリリース、参加声優によるライブの大成功、リズムゲーム「アイドルマスター シンデレラガールズ・スターライトステージ」のリリースなど、勢いに乗って活発な展開が続くシンデレラガールズだが、おそらくはこの先いつの時代になっても、シンデレラガールズという作品の先頭には、島村卯月、本田未央とともに、変わらず凛然と立つ彼女の姿がそこにあるだろう。ことシンデレラガールズという作品に関して、われわれすべての人間が、いま歴史の目撃者となっているのである。   
   
   
最後になるが、本記事はエイプリルフール企画の一環として主筆がなかば冗談のつもりで書き上げたものなので、内容に事実と異なる点や不適切な記述が見られた場合においても、主筆はこれを加筆・修正または削除するつもりは毛頭ないことを申し上げておく。

« 風は東へ ~JRMレーシング・HPD ARX-03a (2012)~ | トップページ | トヨタC-Vシリーズ・終りのクロニクル 「輝ける闇」 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

« 風は東へ ~JRMレーシング・HPD ARX-03a (2012)~ | トップページ | トヨタC-Vシリーズ・終りのクロニクル 「輝ける闇」 »

フォト
無料ブログはココログ

リンクリスト

  • Pixivページ
    自分の描いた絵を置いておく倉庫。当初ニコ静との並行運用だったが今はこっちがメイン (多分…)。更新頻度は高くない。同人イベントの参加情報とかも投下される。
  • Kumaryoong's Paddock
    ソビエト時代の東側諸国におけるモータースポーツ活動について書かれているたいへん誰得なブログ (褒め言葉)。この辺の史料を日本語でまとめたサイトって史上初かもしれません。
  • 作った静止画一覧
    主にMMDで作った静止画を上げています。最近はこっちの頻度のほうが高いですね。
  • Racing Sports Cars
    ル・マンや旧WEC/WSPC/SWC、さらには旧WCMなど、スポーツカー・レースの参戦車両の膨大な資料写真を有するサイト。ドライバー別・車種別検索機能完備。F1もちょびっとだけあります(70年~82年)。
  • F1-Facts
    1950年イギリスGPより、F1に関する全記録を蒐集・公開しているサイト。各年度リザルトページからマシン一覧・写真ページに飛ぶことができます。あなたの知らない名車に出会えるかも。IEは右クリックでの画像保存が出来ないので、PCに保存する際はFireFoxなどを使用してください。
  • 誰得 (boulog)
    謎多きF1マニア(?)、bou_ckさんのブログ。「Wikipediaに載ってないような脳内資料置き場」を標榜するだけあって、その名に恥じぬディープ過ぎるF1マシン解説!Wikiどころか、ネット上にもそうそう無いようなマシンが目白押し。ちなみに「誰得」とは「誰が得するんだこんなもん」的意味合いのフレーズ。 2015.12.13追記: このほどYahooブログからfc2ブログに移転されました。
  • 作ったもの一覧。
    私の動画作品一覧です。気力の低下と更新頻度の低下はすべからく連動しています。