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2021年3月14日 (日)

"dnr" ライナーノーツ

もともとぼくは「自分で自作品の解説をする」という行為をどこかダサいと思っている節があって、例えば気のおけないオタク仲間の集まりで話すとか、(2021年3月現在実現してないけど) 金を積まれて解説記事/文章を書いてくれと頼まれたとか、そういう場合以外でぼくが描いた絵の解説…というか説明というか、そういうことはあまりしたくないと思っているんですよね。説明と言っても技巧的な説明、つまり「この描写は何枚のレイヤーをどのモードで重ねて何色を塗ったものだよ、使ったブラシはこのソフトのこれで太さは何pxね」的なことは頼まれればいくらでもするし積極的にする用意もあるけど (そういう講座記事って需要あるか?)、そうじゃなくて絵のバックグラウンドというか、「この絵の元ネタ、インスピレーションはこれこれこんな状況で、この描写は何に対するオマージュ…」みたいなの。正に音楽で言うライナーノーツですよ。あれが苦手。別に他人が語る分には好きにすればいいと思うし、好きな絵だったらそういうのがあれば読みに行くけど、自分でやるとなるとね。

ただ心境の変化というか、昨年ル・マン→今年シンステで出した「dnr」(リンク先はメロブの販売サイト。この記事で興味が出たらぜひ買ってね) という画集、あれは表紙絵だけが描きおろしで、あとは今まで出した本に載せた絵と、描いたけど本には載せなかった絵の集合体、いわゆる総集編というやつでした。もともとサークル「アルファコルセ」三周年の区切りとして出そうと思った本だし、描いてからずいぶん時間が経った絵も多いので、ぼく個人の備忘録みたいな意味でも、大声で喧伝することはしないけど、とりあえず書き留めて置いておくぐらいのことはしておいていいんじゃないかな、と思い始めた次第です。画集のライナーノーツなのでとりあえず文章だけ、本文は念の為というか、絵っていうのは作者の考えの押しつけじゃなくて、見た人がそれぞれの違う「何か」を読みとってくれればいいなぁと思ってるので、格納しておきます。あくまでも「作者は描いてる時こんなこと考えてたよ」程度の、まぁメモ書きみたいな感じで。もしかしたら今後も (総集編に限らず) 本を出すごとにこういうライナーノーツ的な記事は書くかもしれません。書かないかもしれませんが。もう読みたくて読みたくてしょうがないから是非書け、という奇特な方がもしいらっしゃれば、ここのコメント欄なりツイッターなりでコンタクトしてくださいませ。とりあえず前フリとしては以上です。当然ですが、「dnr」を持ってないし買うつもりもないよ、という方にとってはこの記事は何の役にも立ちませんので、その点あしからず…。


 

・タイトル
出版時の記事で言及した通り、「dnr」は重症患者が「私は危篤状態に陥っても蘇生措置を拒否します」、または治療側が「この患者がもし危篤状態に陥っても蘇生措置は行わない」という意思を表示するものです。要するに「死にそうになったら死なせてくれ (死なせてやれ)」、ぼくの生き方というか考え方というかそのものですね。人間、神様のお決めになすった時に生まれて、神様のお決めになすった時に死ぬわけです。そういう意味ではいま疫病が流行ってますが、ぼくは特に「罹ったら嫌だなぁ」「死んだら嫌だなぁ」、あるいは「これで身内が死んだら嫌だなぁ」と思ったことはないですね。

・表紙「Ave Maria」
描きおろし。紙面全部を走る斜めの塗り分けは、アウディ系のGTチームで19年からDTMにも参戦したWRTが19年から使っているカラーリング、そのフロントカウル部分の斜めの塗り分けにヒントを得たものです (画像参照; 黒と灰色の斜めの塗り分け部分)。赤い三角形はずばり「血の涙」のモチーフですね。ぼくは画のモチーフとして三角形をよく使いますが、特にこれといってはっきりした理由が実はないのですよ。


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・pp.5「ocean fire」
初出は2018年出版の「flumina」。同書の中でもかなり実験的な描き方をした作品ですが、あえて一番前に持ってきました。タイトルの元ネタは坂本龍一/クリストファー・ウィリッツのインストアルバム。「海の炎」と記して、英語で「蜃気楼」「不知火」のような意味合いがあります (…だっけな)。夕暮れの燃える海を縦に配置した背景は同アルバムのジャケ絵のパクリ、その上に炎をイメージしてオレンジ色+発光レイヤーで線画の智絵里を描きました。

・pp.6「la-la-la」
初出は2018年、書籍未収録。当初はこのタイトルが本全体のタイトルになる予定でした。タイトルの響きに反して表紙絵もこれも物悲しい絵面ですが、そのギャップもいいかな、と。pixivでは確か和文で題を入れたはずですが、そういう作品は収録にあたって全部英題をつけ直しています (画集の中で和文を基本的に使わないのは、まぁ理由のわからない一種のこだわりですね)。画の直接のインスピレーションは新居昭乃の「パンジー」の歌詞の一節「泣く時でさえ自由はない」。「泣くに泣けない」っていう言い回しがあるけど、「悲しすぎて涙も出ない」んじゃなくて、「ちゃんと感情の発露として泣くことはできるけど、そこに本当の悲しみは籠もっていない」みたいな…。タイトルの元ネタは安全地帯の2ndアルバムのラスト曲。

・pp.7「we're alive」
初出は2018年、書籍未収録。同年3月11日、東日本大震災の日に描いたもの。これも英題をつけ直した絵ですが、震災のことも考えて選んでつけたタイトルです。ぼくらは生き残って、そして生きている。タイトルの元ネタは安全地帯「ワインレッドの心」シングルカットのカップリング。

・pp.8「a revenger's tragedy」
初出は2019年出版の「hail storms」。ぼくの画の中ではかなり直截的な表現で描いています。この絵で智絵里に宿ってるのって強い「怒り」の感情なんですよね。タイトルも「ある復讐者の悲劇」ですが、智絵里はナヨっとしてるように見えてその実かなり芯が強い娘なので、怒りとか報復とか、そういう負の方向の激情にスポットライトを当てた作品があってもいいんじゃないかな。この絵では赤い三角形が「脈打つ心臓」の象徴として配されています。タイトルの元ネタはビデオゲーム「グランドセフトオートIV」の最終ミッション名。

・pp.9「a victim of stars」
初出は2017年出版の同名画集。記念すべきアルファコルセ初画集・(サークルとしての) 処女作の表紙絵です。この本笑っちゃうぐらい売れなかったなぁ…笑。いま見ると収録作もドヘタクソで赤面モノなんですがね。本全体の構成はいま見ても光るものがあると思うけど、画力が全然追いついてない。で、こいつは画としては吉村昭の短編集「星への旅」の新潮文庫版の影響を非常につよく受けていて、例えば「夜空に浮かぶ、一個だけ欠けた (自殺の暗喩?) いびつな北斗七星」なんかは文庫版の表紙ほぼ丸パクリです (苦笑)。さらに短編集の表題作の題材が「集団自殺」なので、天地逆に描かれて「落ちて」いる智絵里も、もちろん自殺の暗喩です。余談ですが、この本はアルファコルセが出した智絵里画集の中では唯一、タイトルのフォントがほかと違います。タイトルの元ネタはデヴィッド・シルヴィアンのベストアルバム。

・pp.10「hail storms」
初出は2019年出版の同名画集。青系を好んで使うことが多いぼくにしては珍しく、かなりどぎつい赤色で描いていますね。描いたのが結構前だったのと、描いた当時だいぶメンタルをやられていて記憶が定かでないので、この絵だけは背景思想とかを語るだけの材料を持ち合わせません。目線だけこちらに向けていますが、意図としては「祈ってよ、ぼくのために祈ってよ」みたいな具合だったはず。タイトルの元ネタはKashiwa Daisuke (映画「言の葉の庭」の劇伴を担当した人) のアルバム「Re:RED」の4曲目。

・pp.11「april.#02」
初出は2018年、書籍未収録。どちらかというとラフに近い段階の絵ですが、着彩して完成させると当初イメージしたものと違う絵が出てきてしまった一枚なので、完成イメージに一番近い段階のラフを選びました。画家・村山槐多の詩に「四月短章」というのがあって、その一節に「血染めのラッパ吹き鳴らせ / 耽美の風は濃く薄く / 我らが胸にせまるなり」というのがあるのですが、画の直接のイメージはそこからです。赤っぽい色彩なのも、ガランス (深い茜色) を多用した村山槐多へのオマージュですね。タイトルの元ネタはKashiwa Daisukeの同名アルバムの1曲目。「四月」と「april」でもかけています。

・pp.12「stormbird」
初出は2018年出版の「flumina」。もともと2018年の智絵里誕に描いた作品にちょっと手をくわえたもの。智絵里ってよく「天使」のイメージで語られるじゃないですか。天使っつったら背中に羽が生えてるものだけど、ぼくの描きたい智絵里はそういう天真爛漫というか、ステレオタイプで面白みのない智絵里じゃないので、羽は羽でも羽毛一本です。当然飛べない。そういうのが好きですね。実は最初に完成させた段階では頭のまわりに血溜まりを描いて、死んでいることを暗喩させる案もあったんですが、絵面的に喀血してるようにしか見えなかったのでボツ。タイトルの元ネタですが、豪英語でカッコウの一種のことを「Storm bird」と呼ぶらしいですが、作者が意図していた元ネタは二次大戦ドイツのジェット戦闘爆撃機、メッサーシュミット Me 262 A-2a (爆撃機型) の愛称「Sturmvogel」の逐語訳です。

・pp.13「I dance with Gisela tonight」
初出は2018年出版の「flumina」、厳密には同年3月3日完成。なんで日付まで覚えてるかっていうと、ちょうど当日「シンデレラガールズ劇場」の舞台イベントか何かで「スプリングフェスティバル」だっけ? そういうのがあって、その衣装で描いたから。基本的にアイドルをステージ衣装では描かないんですが、ちょうど以下に述べる話すと長いマニアックな理由があって、この衣装になったんですね。たぶん記事執筆時点ではいちばん気に入っている絵かな。
ギーゼラ作戦 (Unternehmen Gisela)」というのが二次大戦末期のドイツにありました。当時ドイツは昼間は米軍、夜は英軍の爆撃機に生産拠点や輸送ライン、さらに一般都市までを袋叩きにされていて、精鋭揃いだった空軍夜間戦闘飛行隊も燃料不足やレーダー網の縮小 (占領地にあった対空レーダーが、その拠点を連合軍に奪回されて使えなくなる) で爆撃機の迎撃もおぼつかない始末。そこでドイツが考えたのが、「夜間爆撃にやってくるイギリス爆撃機のあとをつけてこっそり出撃し、イギリス上空で着陸態勢に入って気が緩んだ爆撃機を片っ端から落とす」作戦。これがギーゼラ作戦と名付けられ (ギーゼラは女性名「ジゼル」の独語形)、当初1944年中に決行予定だったのですが、独軍捕虜から英軍に情報が漏れたことが判明して作戦決行は延び延びになり、最終的に1945年3月3日深夜の英軍の爆撃に合わせて出撃となりました。使用機材は当時メインの夜戦機材だったユンカース Ju 88 G-6型、当初計画では600機単位を投入する予定であったのが、一説によると40機~50機程度の機体が23時ごろから順次北海方面へ出撃して行きました。当日の北海上空は強風・豪雨と悪天候でしたが、イギリス側の探知を避けるためレーダー高度計は封印され、ドイツ空軍搭乗員たちは嵐の中、高度50mで北海を抜けていったと伝えられます。ちょうど日付が変わった頃、Ju 88のうち一機が英軍のB-17を攻撃し、ここにドイツ空軍夜戦部隊最後の攻勢作戦「ギーゼラ」が幕を開けました。戦闘は2時間近く続き、気を緩めていた英軍は24機被撃墜・9機損傷の損害を負いましたが、同時に攻め方の独軍も20機喪失・12機損傷の損害を受け (独軍側の喪失機の多くは帰路に燃料切れや航法ミスで失踪・墜落したものが多かった)、結果的に痛み分けに終ったことで、本作戦は成功とはみなされませんでした。以後ドイツ空軍が一時最精鋭と誇った夜間戦闘機隊は、燃料や搭乗員の不足などから終戦まで組織的作戦を行えず、本作戦がドイツ夜戦隊最後の組織的戦果となったのです。ギーゼラ作戦はドイツ夜戦隊としてはけっこう重要な意味合いを持つはずなんですが、日本語文献だと文林堂「世界の傑作機・ユンカースJu 88 (パートII)」の冒頭でちょっと述べられている分しか読んだことがありませぬ (英Wikiや独語文献・Webサイトは割と充実している)。
話が長くなりましたが、この作戦が3月3日発動とちょうど上記のイベントに被っていたので、イベント衣装の智絵里と嵐の北海上空を飛んでゆくJu 88夜間戦闘機、という絵になったわけです。ちゃんと当時の月齢まで調べて、描いてある月の見え方も1945年3月3日のドイツと同じようになっているはずです。絵面的にはマグリットの影響が見て取れますね。タイトルの元ネタは、英軍が捕虜への尋問でこの作戦の情報を得たときに、ドイツに対して「お前らの作戦は筒抜けだぞ」とアピールするために、ラジオの対独プロパガンダ・チャンネルでくりかえし流された当時の流行曲の題名です。余談ですが、この絵は生データだと縦が9,000pxぐらいあって、その気になればA2ポスターぐらいにはできます。

・pp.14「repetitive manufacturing」
初出は2018年出版の「flumina」。まだ血が流れているうさぎの死骸を智絵里がかき抱いている、という構図ですが、このうさぎは智絵里が自分で銃殺した (目の部分を撃ち抜いた) という設定があります。モバマスのカードで通称「うさちえり」ってありますが、あれに代表される可愛い系の路線の絵、だいぶ前の記事で「モバマス絵なんて脳死状態でただ可愛い感じに描けば数字なんて簡単に取れる、でもそれはぼくの描きたいものじゃない」とボロカスに書きましたが、そういう (脳死状態で描かれた) ものたちへの皮肉とアンチテーゼを多分に含んだ画です。自分で銃殺したということは余程うさぎさんに恨みがあって、それなのに死骸を悲しそうに抱きしめているのか、それとも衝動的に殺してしまってそれを悔いているのか、そこまでは考えていません。見た人なりに解釈してくれればいいと思います。タイトルの元ネタはビデオゲーム「グランツーリスモSPORT」のメニュー画面曲として提供されたYasuhisa Inoueの曲。

・pp.15「stars down」
初出は2018年、書籍未収録。これもラフっぽいというかほぼラフ+簡単な彩色ですが、この絵はこのままが一番情緒が出ると思ったのでこれで完成形です。たしかモバマスの総選挙をやってた頃に描いたもので、周りが「智絵里をシンデレラガールにしよう」とか「智絵里に少しでもいい順位をあげよう」とか、そういう物事が急に低俗なごっこ遊びに見えてきて、もう何もかもバカバカしい、総選挙なんかに構けてるヒマがあったらテメエの明日の朝飯でも考えてろ、みたいなキレ・メンタリティになって描いた画ですね。だいたいぼくの描く智絵里ってそういう「憎しみ」の要素がどっかにある。喪服 (っぽく見えなかったらそれはぼくの画力不足です) は総選挙なんか消えてなくなってしまえ、という気持の代弁。直接のインスピレーションは鬼束ちひろ「流星群」の歌詞「泣く場所が在るのなら / 星など見えなくていい」。「星など~」の部分はもちろんシンデレラガールのことです。タイトルの元ネタはmouse on the keysのアルバム「tres」の3曲目。

・pp.16「glass substrate II」
初出は2020年出版の「ガランス」(出版年が被っているが、同じ年の前に出した本から後に出した本に収録している)。画自体のコンセプトは「I dance with Gisela tonight」とあんまり変わらないかな。描かれているのは二次大戦ドイツ空軍のフォッケウルフ・Fw 200 C-8哨戒/爆撃機。この画は特に何かおおきな意図があって描いたわけじゃなくて、「Fw 200が描きたい」ありきで描いた一枚です。作者の趣味が知れますね…。タイトルの元ネタはビデオゲーム「グランツーリスモSPORT」のメニュー画面曲として提供されたYasuhisa Inoueの曲、「II」とあるのは同じタイトルを2018年の「flumina」収録作で一度使っているため。

・pp.17「re: 0611」
初出は2018年出版の「flumina」。この画も特に大きな意図やコンセプトがあって描いたわけではないので、意味合いとかはまったくもって見る人の想像に委ねます。タイトルの元ネタは珍しく存在しなくて、単純に智絵里の誕生日 (という設定) である6月11日で何か単語が作れないかな、と思って適当に考えた候補の中から選んだものです。

・pp.18「starfire」
初出は2018年出版の「flumina」(書中で「2017」表記になっているのは描いたのが17年のため)。ちょうど17年9月にモバマスで智絵里の新カードが来て、その衣装というか私服で描いています。カードが秋をモチーフにしたオレンジっぽい絵面で、この画もそれを踏襲していますが、印象は全然違いますね。作者の意図というか描いてた当時の考えとしては、紙飛行機は智絵里の嫌な過去や忘れたい出来事たちの暗喩で、そういうものごとを紙飛行機に折り込んで飛ばそうとしたら先端に赤とんぼ (これも確か元カードにあったモチーフ) が止まってしまって、智絵里は心優しいから紙飛行機を投げられない…という画。要するに「なにかを忘れたい・振り切りたいのに、"赤とんぼ" が邪魔をしてそれができない」という構図です。"赤とんぼ" は外的要因だったり、自分自身の中のトラウマだったり…。前頁の「re: 0611」もそうですが、3、4年ぐらい前の画なので瞳の描き方がいまとは結構違って面白いな、というのがぼくが見直した感想。あと作者の意図ではないんですが、見た人から「背景の建物が廃墟っぽくていい感じ」と言われたことがありました。見直してみると確かにそうだな… (雑に描いたのがバレバレですな)。タイトルの元ネタはロッキードがT-33練習機から発展させた第一世代の全天候戦闘機、F-94スターファイア (ちなみに戦闘機としてはとんでもない駄作)。…というのは実は後付けで、「スターファイア」、「星の炎」という単語の響きがいいなぁ、と思って調べたらそういう戦闘機があった、というわけです。ちなみにオールズモビル製の自動車にも同名のものがあります。pp.5の「ocean fire」と対になるタイトルですね。

・pp.19「storm-333」
初出は2019年出版の「hail storms」。当初は完全着彩の絵だったのですが、智絵里部分は線画 (のようなもの。あの線はペンや鉛筆ツールではなく細いブラシで、フリーハンドで引いている。ラフと線画の間の子?) だけのほうが絵的に映えるな、と思い収録バージョンはこれになりました。「血の流れている絵」が描きたい、というだけの単純な動機で描いたもの。ちょうど心臓の位置から出血しているので、「心が血を流している」とも取れるかな。タイトルの元ネタは、ソ連邦によるアフガニスタン侵攻の前哨作戦となった当時のアフガン指導者 (書記長) アミーン暗殺作戦、「嵐333号作戦」(ロシア語がOперация «Шторм-333»、ローマ字転写が "Operatsiya «Shtorm-333»" なので、厳密には "storm" ではないのですが、意味の通りを重視してスペルは英語に直した)。

・pp.20「ax Mr.L」
初出は2017年、書籍未収録。同年クリスマスに描いたもの。基本的にアイドル衣装を描かないぼくとしては珍しく、「I dance with Gisela tonight」に続いて本書では2例目の、公式のアイドル衣装を描いた作品 (「I dance with~」のあれはリアルイベントの衣装なのでちょっと違うか。「Starfire」の公式私服を入れれば3例目) です。単純に物悲しい作品が描きたい気分だったというだけで誕生した画なので、今の目で見るとちょっと薄っぺらいような気もしますが、まぁこれはこれで。瞳の描き方が17年当時のものなので、例えば表紙絵なんかと比べてみると画風の変遷が見えて面白いかも。タイトルの元ネタは坂本龍一/Alva Notoのアルバム「revep」の3曲目。有名な「戦場のメリークリスマス」のメイン・テーマのリミックスで、タイトルもその英題「Merry X'mas Mr Lawrence」のリミックス (?) になっています。

・pp.21「blue beryl」
初出は2018年出版の「flumina」。一時期ジェレミー・マンのアートワークにドハマリしていた頃があって、彼が描く雨音の響いてきそうな街の風景の画をどうやったら再現できるか…と考えつつ、ブルー単色で画面をまとめることを試した一種の習作。結局画風のほうは独自進化というか、有り体に言えば「マンの真似なんかできん!」ということになったわけですが、…まぁぼくは「街の絵」が描きたかったわけではないですからね。キャラをかなり小さめに配していますが、これも実験的要素 (「I dance with~」もキャラ部分は相対的に小さいけど、あれは絵のpxサイズそのものがクソでかいので割と描きこんでいる)。ぶっちゃけ小さいと描き込まなきゃいけない部分が減って楽ですね。その分細い・少い線で表情を出さなきゃいけないので大変な部分ももちろんあります。タイトルの元ネタはKashiwa Daisukeのアルバム「program music II」の4曲目。

・背表紙
伝統的にアルファコルセの智絵里画集は背表紙が実写写真なんですが (処女作以外)、これはまぁ、分る人は分ると思いますが日本科学未来館ですね。1階のガラス張りの空間に地球が吊ってあるのを下から眺めるスポットがあるんですが、あそこ17時閉館なので、その時間帯までに日が落ちる真冬でないとこの写真は撮れないのです。暗い中に照明を当てられて浮かび上がる電子の地球、なかなかいいものですよ。

なんかすごく長くなっちゃったな。以上です。

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