カテゴリー「F1-2013」の記事

2013年12月16日 (月)

2013年F1シーズン総括

執筆が遅れてしまったが、2013年のF1シーズンもさる11月末日にすべてのグランプリを終了、セバスチャン・ベッテルの四連覇という形で幕を閉じた。中盤ピレリタイヤのバースト事故多発を受けてコンパウンド仕様が前年型に戻されてしまい、そのせいでチャンピオンが早々に決定するという選手権的には面白くないシーズンだったが、むろんチャンピオンだけがレースをしているのではなく、今季も12のチーム、24のドライバーがそれぞれ知力と体力の限りを尽くして戦ったシーズンであったといえるだろう。来年はマシンのレギュレーションのみならず、ドライバーの移籍市場も活性化することが予見される (すでに決まっている分だけでも、シートがかなりシャッフルされているのがわかる) が、ここで2013年一年間の戦いを10点満点で採点したく思う。採点基準などは完全に筆者の独断であり、すべての採点やコメントの責任はぼくにある。では見てみよう。

レッドブル・ルノー 9/10 (Sベッテル 9/10、Mウェバー 7/10)
四年連続ワールドチャンピオンとなったベッテルを擁し、もはやF1選手権を欲するままに操っていると言っても過言ではない。もう圧倒的すぎてコメントのしようも無いのである。前半戦ではタイヤを作動温度にうまくもっていけず苦戦気味だったが、イギリスGP以降タイヤが前年型に戻されてからは、昨年同様ワンサイドゲームとなった。前半に苦戦して後半で追い上げる展開も昨年と同じ具合だ。10点満点を付けなかったのはひとえにぼくの個人的な怨恨によるものである。ウェバーはこの年限りで引退し、スポーツカーレースに新天地を見出すこととなった。露骨なベッテル優先のチームの中で、何年も「その気になれば勝てる」位置にいたことが、この陰の実力者をよく体現しているだろう。いかつい風貌だが憎めない苦労人であった。

メルセデスGP 7/10 (Nロスベルグ 8/10、Lハミルトン 7/10)
続投のロスベルグと、マクラーレンから移籍のハミルトンを引き連れ、コンストラクターズ・ランキング堂々二位を獲得した今シーズン、まさにメルセデスにとっては「当たり年」であった。予選のインパクトでハミルトン、決勝の走りでロスベルグ、といいたいところだがチーム的にはハミルトンがファーストドライバー扱いということらしい。資金的にもしっかりしており、来季への展望に不安要素は少ないと見ていいだろう。相変わらずTVには映してもらえないようだが。

フェラーリ 4/10 (Fアロンソ 8/10、Fマッサ 7/10)
前年最終盤までチャンピオン争いに踏みとどまっていたので、今季は開発で苦労するかもしれないというのはある程度予期していたが、それにしても今季はたった二勝、予選ではフロントロウも取れないという苦戦ぶりである。序盤こそそれなりの勝負をしてはいたが、昨年同様中盤から開発が息切れしはじめ、さらにタイヤ変更でレッドブルが逃げ続けたこともあって置いて行かれる一方の展開となった。ここまで不甲斐ない戦いをしていては、並のチームではもう荷物をまとめる覚悟をするしかないのだが…。来年はマッサにかえてライコネンがやってくるが、トップドライバーをふたり揃えてチームがうまくやれるのかも心配である。

ロータス・ルノー 7/10 (Kライコネン 8/10、Rグロージャン 7/10)
フェラーリ、マクラーレンがともに不振をかこった今シーズン、トップチームに常に追いすがり、最終的にマクラーレンより上の順位で選手権を終えることができたのは上出来といえるだろう。グロージャンは去年の叩かれぶりがウソのような急成長で、ライコネンなきあとのチームの牽引役もしっかり務まるのではないかと思う。ただライコネンの発言ではチームから彼には一銭のサラリーも支払われていないとされ、ある意味とても不健全な状態にある現在のF1でプライベートチームが生き残っていく苦労を偲ばせる。来季はマルドナドが移籍してくるので多少金銭的な負担は軽減されるかとおもいきや、ベネズエラの国情に暗雲が立ち込めており大規模な支援の先行きが怪しいという。金銭的な意味でのこのチームの受難はもうしばらく続きそうな気がする。

マクラーレン・メルセデス 5/10 (Jバトン 6/10、Sペレス 5/10)
こちらも苦難のシーズンを送った名門チーム。今季は一度も表彰台に登ること無く終ったが (いちおう最終戦でバトンが四位フィニッシュしてはいる)、最後にチームが表彰台を逸したシーズンが1980年というからその苦難ぶりがわかろうというものだ。今年の選手権争いから早々に脱落した分来年にリソースをさけていればいいのだが…。堅実な走りのバトンはもとより、活きの良さが売りのペレスも本領を発揮できないレースが続いた印象で、この分では来年が心配と言わざるをえない。2015年からホンダエンジンを積むことが決まっているのだが、ホンダが選ぶチームを間違えていないことを祈るばかりである。

フォースインディア・メルセデス 7/10 (Pレスタ 6/10、Aスーティル6/10)
序盤でそこそこ高評価だったが、タイヤ変更と相前後してチームが今季マシンの開発の終了を発表、それからはもう坂を転げ落ちるような凋落ぶりだった。ライバルのサウバーが後半になって復調してきたことで余計に不振が目立ったかもしれない。スーティル、レスタともなかなかの実力者のはずだが、スーティルはレスタに負け越すし、レスタはレスタでシートがなくなってしまうというお粗末ぶりだった。ようするに存在感が無かったということではなかろうか。思えばシーズン開始前は金銭面で深刻なトラブルに面している、などと報じられていたのだから、この成績でも満足すべきなのかもしれない。

サウバー・フェラーリ 6/10 (Nヒュルケンバーグ 8/10、Eグティエレス 7/10)
昨年の実力者コンビがふたりとも離脱、ラインナップを一新した今シーズンは前半こそ苦労が続いたが後半になって印象的な復活を遂げた。昨年型のC31がタイヤ周りを考えぬいた設計で、タイヤが昨年仕様に戻されたことが有利に働いたともいえるが、マット・モリスが5月頃に雑誌かどこかで「もう少したてばアップデートの効果が出るはず」と言っていたので、もとから進めていた開発の恩恵もあったかもしれない。グティエレスはボッタスと並んで、今年の新人勢の中では恵まれたポジションにいたと言える。本人も初入賞にファステスト・ラップと、ルーキーテストをパスする程度の活躍は見せているので、来季も残留の資格はじゅうぶんあると思う。しかしプライベートチームゆえ財政状況は深刻で、秋ごろに一度ロシアの投資グループと話がまとまったらしいがそれ以降ポジティヴな話題はきかれないなど、現在破綻に最も近いチームといえなくもない。ロータスやサウバーのような実力者でこの体たらくなのだから、今のF1はもうおかしいとしかいいようがない。

STR・フェラーリ 7/10 (Dリカルド 8/10、Jベルニュ 6/10)
予選でリカルドがたびたび活躍を見せながら、結果的に大していいところなく終ってしまったという印象である。サウバーからジェームズ・キーが移籍してきて設計面が増強されることになっているが、来季は実力者のリカルドがレッドブルに移籍するため、ベルニュと新人クビアトといういささか頼りないメンバーでやりくりすることになるのが不安要素か。リカルドはレッドブル抜擢も納得できるリザルトだが、ベルニュのほうはあまり目立ったレースが思い出せず、このままではレッドブルから切られる可能性も無いとは言い切れないかもしれない。

ウィリアムズ・ルノー 5/10 (Pマルドナド 6/10、Vボッタス7/10)
優勝まで果たした昨年から大暗転のシーズンとなってしまったウィリアムズ。ハンガリーGPでマルドナドが1点、アメリカGPでボッタスが4点持ち帰り、なんとかノーポイントで終る最悪のシナリオは防げたが、下にはマルッシャとケーターハムがいるだけという悲惨な状況に変わりはない。ボッタスは (いちおう) GP優勝経験のあるマルドナドを相手に、完全にパフォーマンスで上回った辺り、大型新人の片鱗を見せている。来年はメルセデスエンジン搭載やマッサの加入などがあるが、長期的な不振をかこっているこのチームにどこまで躍進を保証してくれるやら、まったく未知数である。

マルッシャ・コスワース 4/10 (Jビアンキ 6/10、Mチルトン 4/10)
例によってノーポイントながら、最高位 (マレーシアGP、ビアンキの13位) でケーターハムを上回りランキング最下位をきわどく回避した。これで資金的にも多少は助かったに違いない。ビアンキはほかにもテールエンダーながら今シーズン全戦完走というささやかな偉業 (全戦完走「扱い」ならマクラーレンの二台も加わる) を達成するなど、実力的にじゅうぶんというところだろう。チルトンは残念ながら存在感もなく終ってしまったが、このチームに存在感を求めることはまぁ無粋だろう。

ケーターハム・ルノー 2/10 (Cピック 3/10、Gガルデ 4/10)
みごとコンストラクターズランキング最下位の貧乏くじを引いたチーム。特にピックはマルッシャ、ケーターハムの四人の中で唯一Q1突破が一度も無く、低迷ぶりは目を覆わんばかりだ。予選のパフォーマンスではガルデの頑張りのおかげでマルッシャを上回っていたような印象があるのだが…。資金的な心配はマルッシャほどではなさそうなのだが、あまりその資金が何かに役だっている様子は無い。

2013年3月28日 (木)

マレーシアGP レビュー

前年までほとんど無敵を誇っていたレッドブル・ルノーも、2013年シーズンに入ると苦戦が噂されるようになっていた。本来なら優勝しているはずのセバスチャン・ベッテルが開幕戦で五位にしかなれなかったからだった。今季からピレッリのタイヤに大きな仕様変更があったのだが、まだその特性を理解しきれていないチームもあり、レッドブルもそのひとつだった。今シーズンのピレッリ・タイヤは、グリップと引き換えにもともとわるかった耐久性がさらに落ちた仕様となり、やわらかいほうのタイヤではほとんど十周程度しかしないうちにピットインしなければならなかった。開幕戦で優勝したのは、ソフト・タイヤを二十周も持たせたロータスに乗るキミ・ライコネンだった。しかしトップチームの開発能力からして、そんなことは1レースか2レースしただけですぐに問題でもなんでもなくなってしまうようなことだった。レッドブルはまちがいなくF1におけるトップチームのひとつだった。

マレーシア・グランプリでは、はやくもレッドブルの復調が目に見えるようになった。途中から雨が降りだした予選序盤では二台ともよくないポジションしか獲得できなかったが、その後雨用のセッティングとタイヤで出ていったベッテルがポール・ポジションになったのである。しかしフェラーリの二台がすぐうしろにつけていて、これまでのようにレッドブルだけが独走するような展開にはなりそうになかった。マレーシア特有のみじかい夕立がコンディションをむずかしくしているのはあきらかで、変化する天気と路面コンディションがレースに影響をおよぼすのは確実だった。

レースのスタートは雨の降る中で行われたが、このことが結果的にレースの展開をひじょうに退屈なものにしてしまった。予選三位のアロンソはスタートで二位に出ると、第一コーナーでトップを走るベッテルの真後ろについて、いつでも追い抜ける構えを見せた。しかし彼は濡れた路面でブレーキをロックさせ、第二コーナーでベッテルに軽く接触してウィングを壊してしまったのである。あまりスピードが出ていなかったのですぐにリタイヤとはならなかったが、チームは雨がすぐに止むことを予想して彼をもう一周コースにとどまらせた。ウィングといっしょにタイヤもドライ用のスリックタイヤに交換してしまえば、タイミングで他車の前に出られると考えたのである。しかしアロンソはピットインしてこなかった。二周目に入った瞬間、ピット前のストレートでウィングが外れてしまったのである。チームの判断ミスだった。こうして、彼は優勝できたかもしれないレースから二周もしないうちに消えてしまったのである。

アロンソが消えてしまうと、スタートでマッサをかわしたメルセデスGPのハミルトンが二位になった。しかし、メルセデスの二台はレースが雨になることを予測して燃料をすくなめに積んでおり、そのためペースを上げてレッドブルと競うことができなかった。そのため、うしろから追い上げてきたレッドブルのウェバーは序盤で彼らをかわしていって、レース中盤までには単独でトップを走っていた。ベッテルはドライタイヤへの交換を終えた時点で彼のかなり後方を走っていて、三位のハミルトンとはさらに差があった。ベッテルは途中ずっとソフトタイヤを使っていたが、ウェバーは一度ソフトタイヤに交換してはいたものの、車が合わずにかたいほうのタイヤに戻していた。雨が上がってからのペースはベッテルのほうが速く、彼はしきりに無線でウェバーにポジションをゆずらせるようにいった。それまでのレースでも、レッドブルが1-2位を走っている時はいつもベッテルが前で、ウェバーはそのうしろで走っているのが普通だった。ウェバーが前を走れるのは、ベッテルに何らかのトラブルが起きて本来の速さで走れない時だけだった。しかしチームとしては、いったんポジションが決まった以上、わざわざベッテルを後方から追い上げさせてまで順位を戻す必要はないと考えていた。そんなことをしたらタイヤが余計に消耗して、二位のポジションすら危うくなるかもしれなかったのである。

しかしベッテルはそう考えていなかった。彼はウェバーよりずっと若く、まだ二十五歳だったが、このチームで三年連続のワールド・チャンピオンになった男で、対するウェバーはまだ一度もチャンピオンになっていなかった。また、いかなる書面においても彼を絶対的なナンバーワン・ドライバーとして遇することは明記されていなかったにもかかわらず、チームはこれまでもずっとベッテルがチャンピオンになるようあれこれ手出しをしていたので、彼はチームのナンバーワン・ドライバーは自分をおいて他にないと考えていた。そのうえ、アロンソがつまらないトラブルでリタイヤしてしまった今、自分がここで勝っておくことで選手権ポイントの差を広げることができ、結果的にチャンピオン・タイトルをめぐる争いで優位に立てるのである。彼はある周回で、ピット前のストレートで車を右のインに持ち出すと、接触しそうになりながらウェバーをかわしていった。

ウェバーはチームメートのぶしつけな挑戦に動揺した。数周前に無線できかされたのとちがう展開だったからである。チームはウェバー、ベッテルの両ドライバーに対して、順位を保ったままペースを落として完走するよう指示したはずだった。彼は優勝が自分のものになると信じて疑わなかったが、ともかく前に出られてはたまらないとばかりに第一コーナーでベッテルのラインをふさいだ。二台の車はホイールが接触しそうな距離で第二コーナーを抜けていったが、その先のストレートではすでにベッテルが前にいた。けっきょく、彼らはそのままの順位でフィニッシュしたのである。やはりレース中に順位を保つよう指示が出されて、ハミルトンよりペースが良かったにもかかわらず彼の後方を守ってフィニッシュしたメルセデスのロスベルグとは対照的だった。

レース後、ウェバーは表彰台上で一度もベッテルと目を合わせなかった。彼らはずっと前からあまり互いを信用していないらしいという噂がパドックに飛び交っていたが、このレースでその最低限の信頼関係までもが崩れ去ったのである。彼と同じくF1で三度ワールド・チャンピオンになったジャッキー・スチュワートはつぎのようにいわなければならなかった。
「わたしはこれまでレースの世界で見てきた中で、彼が最もインテリジェントで世知に長けた25歳だとみなしていたが、今はちがう」

2013年3月13日 (水)

2013年F1 開幕直前スペシャル

2013年のF1グランプリも、今週末のオーストラリア・グランプリをもって開幕戦を迎えることになった。これまで二度のテストがおこなわれ、メルセデスが速いだとかサウバーが速いだとか、いろいろ流言のたぐいが飛び交いはじめるのが毎年開幕前の風物詩である。コバライネンやグロック、小林といった実力のあるドライバーが消え、かわりに新人ドライバーがおおく台頭してきた今季グリッドを見ていこう。なお諸般の事情により執筆がかなり遅れてしまったことを謝したい。

レッドブル・ルノー RB9 #1 Sベッテル (D)/#2 Mウェバー (AUS)
パッケージングに大きな変更はなく、09年以来のニューエイ・ベッテル・ウェバー・ホーナー体制で臨む2013年。車両は相変わらず前年型の延長線上のコンセプト (来年から規定がおおきく変わることになっているので無理もないか) であり、あまり面白い取り組みはなさそう。インフィニティがスポンサーシップを拡大したため、サイドポッドにおおきくロゴが描かれ、紫色がアクセントとして加えられいている。段差カバーは必要最小限のみの装着。体制が安定していることや過去の実績などから、やはり今年もチャンピオンにもっとも近いのはこのチームといえるだろう。あまりひとつのチームが長々と突っ走るのを見るのはおもしろいものではないのだが。

フェラーリ F138 #3 Fアロンソ (ESP)/#4 Fマッサ (BR)
こちらも前年から体制を引き継いでの2013年シーズン。前年後半アップデートを連発しつつすんでのところでタイトルを逃しているだけに、今年の開発にはやや不安が残る。段差カバーは一般的なノーズ先端まで覆うタイプ。テスト段階ではリヤエンドの空力開発に重点が置かれていたというが、一面ではリヤがナーバスな挙動をしめす傾向にあるとの情報もあり、落ち着いた挙動を好むマッサには難しい車になるかもしれない。理論上はじゅうぶんタイトルを取れそうな位置にいるはずなのだが、手放しで期待できないのがこのチームの特徴といえば特徴か…。

マクラーレン・メルセデス MP4-28 #5 Jバトン (GBR)/#6 Sペレス (MEX)
前年サウバーで大健闘を見せた若手セルジオ・ペレスを獲得、F1生活13年目に入るバトンと組んで今シーズンを迎える。今季の車に前年フェラーリが採用した四輪プルロッド・サスペンションを採用してくるなど、一見通常進化に見えてかなりドラスティックな改革を盛りこんであるのがおもしろいところ。チームの人心掌握術や政治力に長けるバトンを相手に、ペレスがどこまで食い下がるか見ものだ。ドライバー的にはもっとも楽しみなチームといえよう。

ロータス・ルノー E21 #7 Kライコネン (SF)/#8 Rグロージャン (F)
こちらも前年コンセプトの踏襲で2013年を迎えるチーム。グロージャンは前年中盤からさんざん悪評を立てられながら残留を決めた。本人も改悛の言葉らしきものを口にしているだけに、今年はまた前年とはちがった正念場になるだろう。ライコネンは復帰初年度からおそるべき安定性を見せていただけに、今年に向けての下馬評もまずまずといったところだろうか。車両的には見たところ前年型E20と比してマイナー・アップデート程度。段差カバーは装着せず、カラーリングは赤が増えてさらにチグハグな印象になってしまった。段差カバーを当初非装着とした理由が「数百グラムの重量増加を嫌ったため」だそうだが、昨年開幕前のサスペンション強度不足問題といい、どうもデザインチームがかなり神経質そうに見える。Twitter上での発言やライコネンの奇行のかずかずなど、もっとも人間的なチームのように思う。

メルセデスGP W04 #9 Nロスベルグ (D)/#10 Lハミルトン (GBR)
前年、特に後半にかけてまったくいいところがなかったメルセデス。引退していったシューマッハのかわりにマクラーレン・チームとうまくいかなくなって離脱を決めたハミルトンを迎え、テストではなかなかのタイムを出してきている。ドライバーはポジティブなコメントを発してはいるが、テストはあくまでテストなので実戦でどうなるかはまだあまり期待しないほうがよいかもしれない。特に前年、一昨年と車の開発で失敗をくりかえしているだけに、今年はまずコンスタントな戦績を上げることに集中するのが先決だろう。段差カバーは一般的なものを装着し、細かなエアロパーツをいろいろ開発しているが、カラーリングそのものには大きな変更はない。

サウバー・フェラーリ C32 #11 Nヒュルケンバーグ (D)/#12 Eグティエレス (MEX)
こちらは昨年おおきく躍進を果たしたチーム。しかしその功労者であるふたりのドライバーはすでになく、フォースインディアから移籍のヒュルケンバーグとテストドライバーから昇格してきたグティエレスでシーズンに臨む。ヒュルケンバーグはまあともかく、グティエレスは新人なのであまり多くを期待するのは酷だろう。チーム力的に「願わくばポイントフィニッシュ」程度なのではないだろうか。独特な形状のノーズカバーを採用し、ひじょうにちいさくまとまったサイドポッドを持つなど、かなり独特な設計の車を開発してきている。熟成に時間がかかるようなコンセプトを今季になって持ち込むのは悪手のような気もするが…。カラーリングは初期HRTのようなガンメタルをメインに使用したもの。収縮色のカラーと相まって、実際以上に小ぶりに見える車だ。

フォースインディア・メルセデス VJM06 #14 Pレスタ (GBR)/#15 Aスーティル (D)
シーズンオフの間にチームの財政状況についてさまざまな噂話が流れ、それをなかば裏付けるようにレスタのチームメイトがギリギリまで決定しなかったチームである。結局は元同チームのエースドライバーであったスーティルに収まったが、一時期小林可夢偉やジュール・ビアンキの名前も取り沙汰されていた。チーム状況的に不安が大きい船出である。車はカラーリング、デザインともに大きな変化がないが、内部構造は完全に刷新されているという。ノーズカバーは通常タイプ。

ウィリアムズ・ルノー FW35 #16 Pマルドナド (VZ)/#17 Vボッタス (SF)
どうでもいい話かも知れぬが、今季ドライバーがふたりともヨーロッパ出身ではないのはこのウィリアムズだけである (北欧とヨーロッパを同一視するかどうかはそれぞれ持論があるだろうが)。セナが持参金の問題でチームを離れ、かわってチームがいわば「本命視」していたボッタスがドライバーデビューを果たした。空力的にかなり攻めた開発の車を持ってきたが、こういう車はえてして大当たりか大外れかの両極端になることが多いので、油断のならない存在である (FW26などは見た目の割に「中間層」におさまっていたが)。特にノーズコーン周辺の独特な角ばった処理が目を引く。先日ベネズエラ大統領チャベス氏が死去したが、これがマルドナドに対するPDVSA社の支援にどう影響するか要注意である。無尽蔵の資金という金看板をうしなった際にドライバーとして生きていけるのかどうか、マルドナドの真価が問われる一年になりそうだ。

スクーデリア・トロ・ロッソ・フェラーリ STR8 #18 Dリカルド (AUS)/#19 Jベルニュ (F)
レッドブルの子飼いチームという図式は変わらずながら、車体設計では完全に母体レッドブルとの決別を果たした (強いられた?) トロ・ロッソ。サウバーからジェームズ・キーが加入し、あまり効果のなかったダブルアンダートレーを廃するなど、こちらもなかなか攻めた設計を行なってきている。段差カバーは通常タイプで、刃物のように尖ったノーズコーンのウェッジシェイプが特徴。両ドライバー間の微妙なライバル意識がプラスに作用するかどうか楽しみである。

ケーターハム・ルノー CT03 #20 Cピック (F)/#21 Gガルデ (NL)
おそらくルックスだけなら今季ナンバーワンの座を確実にするであろうチーム。微妙なグリーンとイエロー、黒のアクセントの組み合わせが美しい。ドライバーは資金難からコバライネン・ペトロフ両名を放出し、マルッシャから移籍のピックと開発ドライバーから昇格したガルデの若いコンビである。ガルデは実は2006年にスーパーアグリ/スパイカーのテストを担当したこともあり (当時二重契約でもめていたことをリアルタイムで見ていた人もいるだろう)、経験そのものは少なくないはずである。シャシーは基本的に前年CT01の流用であり、サイドポッドやリヤエンドまわりに小改良をほどこしただけのものと見ていいだろう。個人的に好きなチームなのだが、今季はマルッシャの攻勢にのまれないように踏みとどまるのが精一杯かもしれない。

マルッシャ・コスワース MR02 #22 Mチルトン (GBR)/#23 Jビアンキ (F)
前年後半、ケーターハムをところどころで上回る活躍を見せただけに、今季も躍進の勢いを維持できるかどうかが注目される。HRTの撤退によって、コスワース・エンジンの単独供給を受ける形になり、開発などでアドバンテージを稼げるかもしれないが、いかんせんコスワースそのものが小世帯なのであまり劇的に戦績が上向くことはないだろう。ドライバーはチルトンとルイス・ラツィアのコンビで決まりかけていたが、開幕直前になって急遽スポンサーがらみの問題でビアンキを引き入れることになり、チームの財政基盤の弱さがあらためて浮き彫りになった。新車MR02はよくいえば斬新な、有り体にいえばお世辞にも速そうに見えない外見 (まるで巨大なクジラのようだ) だが、マクラーレンとの技術提携に加えて今季からウィリアムズ製KERSを搭載するなど、進歩がないわけではない。まあマイルドに期待する程度のチームだろう。

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